11月3日、文化の日に開催されるリーグ戦は、このカードのみ。そこに現在、首位の浦和が登場するのだから、注目を集めそうだ。しかしながら、本拠の横浜FMは10位。前節C大阪と引き分け、優勝の可能性が消滅した。J2降格の心配もなくなり、動機づけが難しい状況ではある。それでも、意気揚々と乗り込む赤い敵を前に、「プライドをもって闘う」(小林祐三)プロ魂を見せてくれるに違いない。
浦和は、現状2位のG大阪に勝点差3に迫られ、得失点差では2点下回っている。前日2日のG大阪−仙台の結果次第では、首位陥落の可能性もある状況に。よって、敵地であろうが勝点3しか眼中にないはずだ。相手は自分たちより1点少ない総失点数26点と、目下J1最少失点中の堅城を築く横浜FM。いかにゴールを奪うかが命題になるだろう。
がしかし、1トップの興梠慎三がまさかの負傷離脱。前節・鹿島戦で右腓骨骨折を負った。前線での圧倒的なボールキープ力が攻撃の下支えになっていただけに、浦和にとっては痛恨の極みと言えるのかもしれない。
代役を担うのは李忠成。彼は裏への抜け出しやワンタッチゴールを好物とし、興梠とはタイプが異なる。李に興梠のプレーを望むよりも、周囲の選手が彼の持ち味を生かすよう、アジャストさせることが重要になるのでは。とはいえ、広島時代からの同僚、柏木陽介がすぐ下のシャドーの位置にいるのは心強い。前回、第10節の横浜FM戦でも柏木のCKから李が頭で押し込み、逃げ切った。
また3年前にさかのぼるが、2011年の第11節、当時広島の9番を背負った李は、横浜FM相手(3−2)に2ゴール1アシストと大暴れ。圧巻だったのは33分の2点目。右サイドからドリブルを仕掛け、栗原勇蔵をかわすとさらに加速。後手を踏んだDF中澤佑二も置き去りにし、加点したのだ。さらに言えば、昨季第4節、F東京所属時の横浜FM戦(1−2)にも、得意のボレーで1ゴール。よって、トリコロールには良いイメージを持っているに違いない。
逆に横浜FMにとっては、興梠よりも常に裏のスペースを狙い、一瞬の隙を突いてゴールを陥れる李の方が、嫌なタイプなのかもしれない。また、横浜FMの守備で不安視されるのはボランチの位置。このポジションはケガ人が続出中で、前節は本職ではない2人、兵藤慎剛と佐藤優平が務めた。浦和戦ではより守備の底上げが必要なだけに、兵藤は据え置きだが、もう一枚はケガ明けの三門雄大か、本職はセンターバックのファビオが入りそうだ。三門は、前回の浦和戦も先発出場。しかし、失点時のCKの際、マークに付いた李にやられ、ゴールを献上した。今回出場を果たして、その悔恨を払拭することができるか。
ファビオは、10月31日の紅白戦で中盤の底に入った。昨年も途中出場などでその位置での経験があり、器用さを備える。ただ、浦和戦では、相手2シャドーへのパスを遮断することが、守りの鉄則の一つ。そのためにはボランチの微細なポジショニングが重要度を増す。そう考えると、本職の三門雄大に一日の長がある。だが、ファビオの身体能力&身長186cmの高さも魅力。どちらがピッチに立つにしろ、浦和に対抗するには、ボランチの活躍が不可欠だ。
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2014.11.02 Reported by 小林智明(インサイド)