『COPA COCA-COLA 2014』エキシジジョンマッチで戦う両チームイレブンは、J1第30節現在、優勝争いを繰り広げているサガン鳥栖のホーム・ベストアメニティスタジアムでキックオフのホイッスルを待っていた。
同大会は、成長期にある中学生世代に対して飲料製品に関する情報提供、食育に関する認知・普及活動などを行い、健康的な生活習慣づくりをサッカーを通じ体験してもらえる場を提供することを目的としている。これまで各地区で予選が行われ、9月に静岡で開催されたCOPA CAMPで優勝決定戦(11月3日@日産スタジアム)進出チームが選ばれている。
このエキシビジョンマッチは、当初地区予選出場チームの中から最もCOPA COCA-COLAを楽しんだ2チームを選出予定だったが、予選会場のなかで悪天候で中止となった広島地区と名古屋地区(午後)に参加予定だったチームから選抜されたチームでの対戦となった。
選抜されたのは、広島地区代表の「RISING ASAKITA」と名古屋地区代表の「豊明中学校」の2チーム。彼らが、J1リーグ第30節が行われるベアスタのピッチで前座試合として対戦することとなった。
エキシビジョンマッチのキックオフは、同日開催のJリーグのキックオフ約2時間前、すでにスタジアムは開門し、スタンドにはサポーターが入り始める中で、Jリーグの試合同様に審判を先頭に両チームの選手が並んで入場。スタメン選手が並んでの写真撮影や選手同士のあいさつなど、Jリーグ同様に進行してキックオフを迎えた。
試合は前半から豊明中学校がやや優位に攻める。日ごろの練習の成果を存分に出し、前線の選手にボールを積極的に送っていた。対する、RISING ASAKITAはGKを中心にしっかりと身体を張って防ぐ。サッカーは押されている時こそカウンターのチャンス!機を見てはロングボールを用いて好機を作り出していた。
先制点は、豊明中学校のMF・松本大河選手が決めた。このゴールがどれだけ大きな意味を持っていたのかは、得点後に出来上がった歓喜の輪を見れば一目瞭然。Jリーグの試合を待つスタンドからも拍手の協奏がおこり、彼らの喜びをさらに大きなものにした。その後、RISING ASAKITAも負けじと反撃を試みたが、最後まで豊明中学校の固い守備を崩すことはできなかった。
RISING ASAKITAは、サッカー部として活動しているチームではない。部活もクラスもバラバラの選手で構成され、サッカー大好きな仲良しの仲間で構成されたチームである。この大会を通して、大好きな仲間と最高の時間を過ごし、中高一貫校のため、これからもともに過ごす高校生活をより楽しいものにしたいとピッチに立ったそうだ。
対する豊明中学校は、サッカー部やサッカークラブの仲間で構成されている。夏の大会は地区予選で敗退、最後の夏を不完全燃焼で終えたサッカー部の仲間たちも多く、この試合へのモチベーションは高かった。実は、その最後の試合翌日に仲間の1人が父親を亡くし、その後の生活に希望を見い出せずにいた。彼にこの夏のすばらしい思い出を作ってほしい、サッカーを通してまた希望を持ってほしいと、仲間たちは共通した思いを持ってこの試合に臨んだという。
試合後、ゴールをあげて勝利を呼び込んだ松本大河選手は、目を輝かせながら教えてくれた。
「ゴールは自分でもビックリした。今は、サッカーが楽しくてしようがない。チームとして同じ目標を持ち、協力して戦えることがサッカーの魅力」。
成田政弥選手は、試合後に「先生の言葉を守り、結果を出すことができました。芝の上でサッカーができたし、点も取ることができてうれしいです。将来の夢は、名古屋グランパスでJリーグの選手になること。そのためには、これからも頑張らないといけないけど、ここまで支えてくれた人たちにも感謝しないといけない」とコメント。キャプテンとしてチームを引っ張ったこの大会を振り返り、将来へと希望の目を向けていた。
惜しくも敗れたRISING ASAKITAの大林巧幹選手は、普段は合気道をしているそうだ。「合気道は決まった動きの中から進めていくが、サッカーはみんながバラバラに動いて成り立つスポーツ。これを一つにまとめる楽しさがある」と、サッカーの魅力を表現してくれた。「ボールには触れたの?」と少し意地悪な質問をしてみたら、「下半身でクリアしましたよ」と教えてくれた。その瞬間、周りで聞いていたチームメイトの顔が笑みで満たされた。
選手としてボールを追いかける喜びだけでなく、仲間とともに目標を達成する喜びを味わうことができたエキシビジョンマッチ。中学生たちの清々しいプレーと笑顔に、スタンドの鳥栖と新潟のサポーターも惜しみない拍手を送っていた。
以上
2014.10.27 Reported by サカクラゲン