●反町康治監督(松本):
「まあ内容的には誉められたものではないと思います、逆に言うと、誉められた内容ではないにも関わらず勝点3を取れたというのはある意味評価していいと思います。しぶとさが我々にもついてきたんじゃないかと思います。
富山は最後のシーンもそうでしたが捨て身の戦いをしてくるということで、そういうチームは本当に難しいです。どこもチームも難しいというのはあるんですが、今日は本当に難しかったです。苦しい時に声を出して応援してくれたサポーターには本当に感謝していますし、新たな目標設定したんですが、それに向けてやっていきたいと思っています」
Q:2点ともセットプレーからでしたが?
「いつもそうなんですけど、向こうがスローインにどういう対応してくるのか分からなかったので難しかったですね。フリーキックはスカウティングどおり、飯田と犬飼のダブルアイに(笑)つけてくるのが95%だよと話はしました。彼らは逆に言うと、スペースを作るまたは混雑を避けることをして、山本、大久保、喜山で勝負をすると。それが奏功したと思います。多分あの時は平出つまり犬飼のマークがファーに逃げたと思います。ほんのちょっとしたことですが、その準備が奏功したと思っています」
Q:前半は富山が風下をとってノーリスクな試合をしたように見えました。
「逆に長いボール、ワンバウンド・ツーバウンドしたボールは苔口の一番好きなボールなんですよ。結局彼の加速で1回喜山が置いて行かれましたが、ああいう形を狙っているわけです。それは個人の力を生かした戦術的な部分で、あれが正直一番怖いです。あとは苔口のゴールのほとんどがアーリークロスからのゴールなんですが、前半のどこかで内田のアーリークロスが出て、犬飼が触るか触らないかというのがありました。ああいうボールも怖い。それは向こうの個人の持っている力と攻撃の1つの手段としては狙い通りだったと思います。それは選手に話をしました。ただ問題だったのは、自分たちのボールになっても簡単に渡してしまうとか、中途半端なクリアをするとか、味方に繋げるのに外に逃げてしまったりとか。処理をしっかりするということが、外に逃げちゃうこととイコールになってしまったので、自分たちのリズムで出来なかった。あとは山本ですよ。今日はハーフタイムに代えてもおかしくなかったくらいでしたけど、攻撃のリズムが出来なかった。それだけです。湘南もウェリントンがいないとああなっちゃうのと同じですよ。うちのヤマリントンはまったくですよ(苦笑)」
Q:条件付きですが、次節には2位が確定します。
「そうして浮わついて、例えばチーム全員で福岡に移動しよう、なんてことはしませんから。いつもの18名を1週間見て選んで、いつもどおりの準備をすると。完璧な準備する、それだけです」
Q:内容が悪かったということですが、どの辺りが?
「失点場面だけではなく、ひとつのボールに対する執着心とか、先ほど捨て身と言いましたが向こうのほうが少し上でしたね。お互いに風の影響もあって長いボールが多かったですけど、それを拾うところとか、うちの選手も何人か倒れましたが球際のところを激しく来ていることで少し圧された部分はあると思いますね。ハーフタイムに『なんでこんなにルーズなんだ。これじゃあ前期の二の舞だよ』と話し、後半少しは良くなりましたが、まだルーズな部分はあったと思います。1回右サイドで、村山が足が短かったために抑えた部分もありましたけど、あれを機に『この試合はアンカーを(岩間)雄大にして、その前に喜山と(岩上)祐三を置かなければ展開上厳しいな』と思い、並びを変えましたけどね」
Q:10月は3勝1引き分けと負けなしでした。
「9月が終わった時点でいいオクトーバーにしようと話をしましたが、最後に力を発揮できるのが強さだと思いますし、蓄積していったものをどんどん試合で出していくという意味でうれしく思っています。これで後半戦だけに限れば、ベスト3は我々と横浜FCと千葉ですか。今日で湘南を抜いたわけですよ。それを考えると、監督が色々言おうが何をしようが、サッカーはメンタルスポーツなんだなと思いますね」
Q:プレッシャーは感じていませんか?
「私も年をとってきて、階段を登るのに、2・3段一気に登れないわけですよ。そういう年になってきたので、チームも同じで一段一段しっかりと画鋲とか落ちていないか確認しながら登っていきたいと思います。下る時は早いですよ、どーんどーんと(苦笑)。登るときはしっかり登りたいですね」
Q:富山は一番掴みづらい相手と事前に話していたが?
「相手のストロングな部分は少し話しますが、何はともあれ相手ではなく我々が主体ということをまず中心に話をします。その中で向こうのセットプレーとか特徴を押さえてゲーム戦術に移さないといけない。ただ、捨て身で今日はアンカーを1人置いてその前に白崎と井澤を置いてきた。想定の中にはあったんですが、最初からそうしてくるとは思わなかった。そういうことを色々やってくるわけですね。それで所謂セカンドボールを拾われたりする部分はあったんじゃないかと思います。
どのチームも難しいですし、皆さんは勝つのが当たり前という感じでスタジアムに足を運んだと思いますが、何も知らない人に今日の試合を見れば、どっちが強いか分からない。コメントさせると違うことが出てくるかもしれない。我々も見えないところで重圧があり、向こうも同じように重圧はあるんですがね。やはり42試合あればこういう試合もある。それを勝点3に繋げることが出来て、どちらかと言うと火事場で馬鹿力を出せたことはうれしく思います」
Q:昇格を目の前にして、松本らしいサッカーで勝利に導いたことが驚きです。
「色気を出さず、やれることをしっかりやるということですね。例えば自分が上手い選手と思っちゃって、ひとつ余計にボールを持ってしまう。前半の喜山なんかそうでしたよね。ハーフタイムに言いましたが、今日は良くないほうだったと思います。言い方を変えると、うちの選手は自分のやれることは限られているわけですね。自分のやれることをやれば、チームとして組織化して出来ていると我々も選手も自負しています。大きな流れとなってチームのエネルギーとなって出ている。それだけです。別に何か隠し味があるわけではないし、色々な人の批評批判あると思いますが、我々の出来ること、最大限の力を出すことを徹底して、練習でもミーティングでも話をしながら実直にやっている。誰もサボらずに。それだけです」
Q:前半は低調な展開だったが?
「いつも低調なので(苦笑)。今日が特別低調だったわけではないんですが、やはり今日もここで紅白戦が出来るくらいメディアの方が見えているわけで、注目してヨイショしてくれているので、少なからずあると思います。でも言い方を変えると、こういう雰囲気でやれることはありがたいですよね。それをエンジョイしろとは言っていますし、実際いい形でやれているんじゃないかと思います。それでダメだったらしょうがないですよ。それだけのチームだったということになりますから」
Q:次節へ向けて、どうアプローチするか?
「そんなレシピがあればいいんですけど、ないですよ。それはチームによってそれぞれですからね。何か持っているんじゃないかと思われていますけど、何もないですよ。逆に今までどおり実直に、私も選手とサッカーと向き合っていきたいと思います。昨日はクラシコの前半で寝ちゃいましたが、サッカーを勉強して、実直に向き合う。それだけです。
(Q:過去の昇格経験は生きていますか?)
何もしてないよりはマシなんじゃないでしょうか。ただ、どうでしょう。何とも言えないですね。まあ、あと1カ月、人生賭けてやりたいなと思っています」
以上