リーグ戦も今節を含めて、残り5試合となった。10月のラストゲーム、松本はホームで富山を迎え撃つ。その立場こそ対照的な両チーム(と言わざるを得ない)だが、勝点3の持つ意味はお互い同じ。共に“負けられない”一戦となる。
両チームの現状をおさらいしよう。まずホームの松本だが、前節・京都戦はスコアレスドローに終わった。とはいえ、特に後半押し込まれる展開を耐えしのぎ、敵地で貴重な勝点1を奪取。これによりJ1昇格プレーオフ圏内となる今季6位以上が確定した。開幕前から6位以内を目標に掲げてきたチームにとって、まず1つ目のミッションはクリアした形となる。次なる目標は「銀メダル」(反町康治監督)。現状の2位を維持したままフィニッシュし、自動昇格を果たしたいところ。そこで気になるのは3位・磐田との勝点差だ。現在、その差は『8』となっている。全くの皮算用だが、仮に今節で松本が勝利し、磐田が引き分けか負けた場合、その差は『10』もしくは『11』まで広がる。つまり対象チームの結果次第では、最短で11月1日開催の第39節には松本の自動昇格が決まる可能性もある。
対するはアウェイの富山。現在は22位に沈んでおり、前節・札幌戦での敗戦により21位以下が確定している。そして現在、21位・讃岐との勝点差は『11』だ。仮に讃岐が勝ち、富山が引き分けか負けた場合、その差は『13』もしくは『14』まで広がる。つまり今節の結果次第で、22位が確定してしまう。まさに徳俵に足がかかった状態にある。今の富山がJ2残留への蜘蛛の糸を掴むために必要なことは、“5連勝すること”のみだ。前回対戦時(第10節)で松本に3−2で勝利し、今季初勝利を飾っている点は今節への好材料と言える。2位のチームに土をつけることで、11月に向けて弾みをつけたいところだろう。
勝敗の分かれ目は2点ある。まず1つ目は、どちらが勝利への執着心をパフォーマンスとして表すことができるか。お互いに勝点3が必要な状況だけに、気負わずしかし緩まずに90分間戦い抜くことが重要。負けられないという重圧を跳ね除ける、強いメンタルがモノを言う一戦となる。
そして2つ目は富山のディフェンスだ。ここまで富山のリーグ戦失点数は66点となっており、この数字こそ富山が下位に沈んでいる要因と言える。前節・札幌戦でもラインの裏を通されて2失点しており、松本としてはそこを執拗に突くことで得点機を見出したい。とはいえ、前節は契約上出場不可だった前貴之と出場停止明けの秋本倫孝の両名が先発起用濃厚となっている点を踏まえ、「札幌戦のように、そう簡単にはいかないだろう」と反町監督も警戒する。右ワイドで攻守に躍動する前と、3バックの中央でライン統率する秋本の復帰は富山にとって頼もしい。元来アタッカー陣には駒が揃っており、守備面が整備されれば攻撃面でも好循環が生まれることは間違いない。お互いに我慢するべき時間はあるだろうが、そこを耐えることで主導権を掴みたい。
以上
2014.10.24 Reported by 多岐太宿