本文へ移動

J’s GOALニュース

一覧へ

【J2:第37節 福岡 vs 群馬】レポート:両チームの現状が顕著に現れた試合は1−1のドロー。(14.10.20)

福岡にとっては重苦しい試合だった。86分の坂田大輔のゴールで連敗こそ止めたものの、内容はむしろ悪くなっている印象が強い。特に、それが顕著に表れたのが前半の戦いぶりだった。まずは失点を喫したシーン。立ち上がり6分という時間帯もさることながら、簡単にクロスを上げられ、ペナルティエリアへ入ってくる選手へのマークを怠り、取り立てて危険なシーンでもなかったにも拘わらず、簡単に群馬に得点を許した。技術、戦術を云々ではなく、細かいところでのアラートさが失われていることは選手たちも自覚しているところだが、その傾向は改善される兆しすら見えない。

そして、その後の戦い方は今シーズン最悪と言ってもいいものだった。攻守にわたって不用意なプレーや単純なミスが延々と続き、福岡の特長であり、ストロングポイントでもある「戦う態度、意識」が感じられるシーンはほとんどない。そして最大の問題は、チームとして何をしたいのかが全く伝わってこないことだった。局面を見れば、頑張っている選手もいる。しかし、個々の意思とプレーがチームとして繋がらない。攻守に渡る要である中原秀人がコンディション不良で欠場したことが影響を与えていたことは確かだが、それを差し引いても、その内容はとても許容できるものではなかった。「可能性がある限り諦めない」。そう話す選手たちの言葉と、この日のプレー内容は、全く別次元のものだった。

一方、群馬にとってはもったいない試合だった。「攻守において我々がやってきたことを、パフォーマンス、メンタリティも含めて、選手が素晴らしいものを出してくれた」と秋葉忠宏監督が振り返ったように、失点シーンを除けば、90分間に渡って、チームとして意図する形で試合を進めた。コンパクトなゾーンを形成して相手の攻撃を許さず、奪ったボールをテンポのいいパスワークでゴール前まで運んだ。有薗真吾、クォン ハンジンがコントロールする最終ラインは安定感があり、中盤では小林竜樹が自在にボールを操り、それを永田亮太、加藤弘堅がサポートする。攻撃面では、平繁龍一、ダニエル ロビーニョ、青木孝太の3人が躍動する。明確な意思で繋がる11人のプレーで試合を完全にコントロールしていた。

悔やまれるのはセットプレーで許した1点ではなく、2点目を奪えなかったことだろう。「2点目、3点目を取るチャンスはあったし、もっと言えば、4点、5点、6点と取れるチャンスもあった」という秋葉監督の言葉は決して大げさではない。前半のうちに追加点を奪っていれば、おそらく、その時点で勝負は決していたはずだ。この日の試合の課題は、ゲームをコントロールしながらもフィニィッシュの形に持っていくことが少なかったこと。両チームの内容を比較すれば、放ったシュートが福岡と同数の8本というのは少なすぎる。特に、福岡に何もさせず、自分たちの思い通りに進めた前半に、シュートを2本しか打てなかったことが悔やまれる。

さて残り試合は5試合。この5試合で、2014シーズンが自分たちにとってどういう意味があったのかが決まる。そういう意味では、福岡は、もう一度自分たちの原点を見つめ直す必要があるのではないか。今の状態を脱するためには、技術、戦術を云々するだけではなく、なぜ自分たちがピッチに立っているのか、なぜピッチの上で戦っているのか等々、自分たちの原点を整理することでしか抜け出せないように見える。この日、同点ゴールを挙げてチームに勝点1をもたらした坂田のプレーが、チームメイトに何かを思い出させることを期待したい。
そして群馬。苦しいシーズンを過ごしてきたが、自分たちの積み重ねてきたものが形になって現れ始めていることは、この試合でも見て取れた。だが、それを確固たるものにするためには、やはり結果が必要だ。「しっかり勝ち切らなければ成長したとは言い切れない。1人、1人が、もっとやれるという部分と、やらなければいけない部分をグラウンドに置いてこられるようにやっていかなければいけない」と話すのは小林。次のステップに向かうための5試合。群馬にとって大事な試合が続く。

以上

2014.10.20 Reported by 中倉一志
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

J.LEAGUE TITLE PARTNER

J.LEAGUE OFFICIAL BROADCASTING PARTNER

J.LEAGUE TOP PARTNERS

J.LEAGUE SUPPORTING COMPANIES

TOP