前節(第36節)は強風吹き荒れる難しいコンディションの中で札幌に2−0で勝ち、関塚体制初のリーグ戦連勝となった千葉。J1昇格プレーオフ出場圏内であり、今季の千葉の最高位の5位に浮上した。一方、前節の大分は松本に0−2で敗れ、第30節・熊本戦(スコアは0−1)以来の敗戦で第30節以来の無得点試合。この敗戦もあって大分は第28節終了時からキープしていたJ1昇格プレーオフ出場圏内の6位から7位に後退した。
松本が着々と今季の2位確定へ近づく中、残り6試合で松本との勝点差が15の千葉と16の大分が求めるのは、まずJ1昇格プレーオフ出場権を獲得し、さらにより優位な3位となること。J1昇格プレーオフを狙うチームがひしめき合う現況では1試合の勝敗が大きな意味を持つだけに、どのチームも一戦必勝態勢だが、それがJ1昇格争いのライバルとの対戦ならばなおのことだ。特に、千葉と大分は2012年のJ1昇格プレーオフ決勝で戦い、その年のJ2リーグで5位だった千葉は6位だった大分に引き分け以上でJ1昇格となったが、0−1で敗れてJ1昇格を逃した。あの日、千葉の選手やスタッフ、そして千葉サポーターや千葉に関わる人々が味わった喪失感や虚無感はとてつもなく大きなものだった。それを少しでも払拭できるのはJ1昇格しかないだけに、今節は大分にきっちりと勝ちきり、J1昇格プレーオフ出場権獲得確定へと歩みを進めたいところだ。
千葉は10月15日に天皇杯準々決勝・C大阪戦(@金長スタ)を戦っているため選手のコンディションが気になるが、J2第36節からスタメンを6人入れ替えて1−0で勝った。J2リーグで出場機会が少ない田代真一が前半のピンチで相手のシュートをクリアし、54分に決勝ゴールと攻守に活躍。56分には佐藤勇人を山口智に代えるなどコンディションを考慮した采配もあった中で、J2第36節と同様に後半は前線にFWを増やした相手の猛攻をしのいだ。その一方で気になるのは、J2第36節、そして天皇杯準々決勝はスタメンを多く入れ替えたものの、流れの中から決定機を多く作れないでいる攻撃。今節はより気合が入りそうな一戦だが、気持ちが先行しすぎてプレーの細部の精度を欠けば、千葉が得点できないだけでなく大分にボールを奪われてカウンター攻撃のチャンスを与えかねない。
大分は4−2−3−1システムもあり得るが、4−1−4−1システムが多い。千葉は大分のアンカーのダニエルの両脇のスペースを有効に使いたいし、そのスペースを大分が中に絞ってカバーすれば、今度はサイドにスペースが生まれるはず。ダイレクトパスを使って賢く相手のスペースと隙を突いて動きながら、ボールを動かしたい。守備では大分の1トップの林容平に起点を作らせないようにマークし、こぼれ球を拾って優位に立ちたい。
大分は第35節・磐田戦では球際の勝負に勝ち、後半の決定機を確実にモノにした2得点で2−0と勝利。だが、前節はダニエルのボール奪取から攻撃の形を作って優位に試合を進めた前半に得点できなかったのが響き、後半は連係ミスでボールを奪われて71分に失点。その10分後にはロングフィードからディフェンスラインの裏を突かれ、松本の船山貴之に連続得点を許してしまった。今節はディフェンスラインから中盤での攻撃の組み立てでミスを減らし、逆に千葉の攻撃時のミスを逃さずに攻撃に転じられるかがカギとなる。
前回対戦は千葉が4−2(得点者は千葉が森本貴幸=2点、ケンペス、山中亮輔、大分が風間宏矢、高木和道)で勝利。だが、その試合の大分の高木の得点はセットプレーからの流れで、前節の千葉の先制点は中村太亮のFK。激しい競り合いでのファウルによるFK、サイド攻撃で得るCKなどセットプレーも多くありそうなだけに、そのチャンスを得点に結びつけられるかも白熱した激戦の勝敗を分けるポイントになるかもしれない。
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2014.10.18 Reported by 赤沼圭子