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【J1:第27節 柏 vs 広島】プレビュー:異例の柏対広島3連戦、その第1ラウンド。カップ戦の2試合を必要以上に意識せず、まずは目の前の試合だけに集中して臨む。(14.10.05)

広島との3連戦は、実は2年連続となる。ただ、昨年はJ1第9節から約1カ月間の中断期間を挟んだため、柏はその間に行った指宿キャンプで入念に広島対策をして臨めたからこそ、続くヤマザキナビスコカップ準々決勝の2試合で、この難敵を辛くも退けることができた。
しかし今回は8日間で3連戦をこなさなければならない。柏は、2011年にはヤマザキナビスコカップ1回戦とJ1第19節で仙台と、昨年はJ1第30節とヤマザキナビスコカップ決勝で浦和と、それぞれリーグとカップの2連戦を経験している。いずれも難しい試合になっただけに、この広島との3連戦はそれ以上の困難が予想される。

迎える広島は順位こそ中位に甘んじているが、前回アウェイでの対戦では、柏はまざまざと彼らの強さを見せつけられた。試合の入りは、柏も悪くはなかった。ボールを持つ時間帯も多く、チャンスも作れた。ところが、帰陣の速い広島の守備組織を崩せず、そこをこじ開けようと前がかりになった柏が、バランスを欠いた背後を巧みに突かれ、後半途中から一気に崩れた。終わってみれば今季最多失点を喫し、2−5というスコアで完敗している。

広島は、とにかく守備ブロックを作り上げるのが速く、水本裕貴、塩谷司という日本代表DFを並べる守備陣にブロックを作られては、そう簡単に崩せるものではない。もちろん、前回対戦で柏好文にサイドを切り裂かれたように、そこからのカウンターも脅威ではあるが、そもそも広島は低い位置に陣形をセットしても、選手個々の能力が高いゆえ、ポゼッションをしながら押し上げていける強みがある。普通ならば、引いてブロックを作ると、ボールを奪っても前に出ていく時に相当のパワーを必要とし、攻め手は縦へのカウンターのみとなってしまうのだが、カウンターだけでないところは広島が他のチームと一線を画す部分である。
前節の神戸戦で、土壇場で塩谷が同点ゴールを決めたように、ふとした時にスルスルと上がってくるこの日本代表DFの存在は、守備面のみならず攻撃でも警戒しなければならない。前回対戦では柏も、塩谷の攻め上がりに誰も付いていかず、そこから同点を許した。今回マッチアップするであろう、高山薫は「塩谷はうまいし点も取れる。同い年で大学時代から知っているので、なんとか抑えたい」とモチベーションも高い。

とにかく柏は、先に失点をしないことだ。ホームでは11戦無敗の4連勝中、そして直近のホーム3試合は完封勝利と、日立台で素晴らしい試合ができている要因は、アウェイとは違って先に失点をしていないことによる部分が大きい。
「F東京戦では我慢強さを出せなかった。失点の時間帯が悪すぎたし、そこでの集中力を欠くと試合を台なしにしてしまう。ホームではそこはできているから、まずは失点しないこと」(栗澤僚一)

そして前回対戦で鋭いカウンターに沈んだ、あの2−5の教訓を生かせるかどうか。柏は攻守にアグレッシブな意識を持ちながらも、広島のカウンターに備えてリスクマネジメントは徹底する。逆に守備が安定すれば、柏は工藤壮人とレアンドロが夏場以降は素晴らしいコンビネーションを築き始めているだけに、型にハマった時の彼らの破壊力は、2連覇中のディフェンディング・チャンピオンといえど、そう簡単には止められはしないだろう。

選手の多くが「難しい試合になる」と予想する今回の3連戦。だが、その初戦にあたる今回のリーグ戦の試合は、180分の戦いでもなければアウェイゴールも存在しない。当然、試合の中での駆け引きは存在するが、次の試合に向けた駆け引きは必要ないため、ただ勝てばいいと考えれば非常にシンプルである。

勝ってホームの連勝記録を5に伸ばす。後に続くヤマザキナビスコカップの2試合は、今回のリーグ戦が終わった後に考えればいい。

以上


2014.10.04 Reported by 鈴木潤
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