果たして本当に成熟したチームになっているのか。浦和にとって徳島戦は様々な意味で成長できているかを問われる一戦になる。
浦和は昨年の課題だった守備面を改善しつつ、自慢のコンビネーションにも磨きをかけている。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督のもと、ピッチ上のパフォーマンスレベルは年々上がっている。サッカーの成熟度は確実に高まっており、それが安定した成績にもつながっている。
現在の浦和と徳島の順位を見ても、チーム力を比べても、浦和の方が地力に勝るというのは徳島サポーターを含めて誰もが認めるところだろう。「浦和が勝って当たり前」。周囲からはそういう見方がされる一戦になる。
だが、浦和はそういう試合で苦い経験をしてきた過去がある。特にタイトルレースが佳境を迎える終盤戦で足元をすくわれてきた。昨年は残留争いに巻き込まれていた甲府(9月21日)、湘南(9月28日)から勝ち星を奪えず、2試合連続ドローという不本意な結果を残してしまった。一昨年の2012年も、ちょうど今頃行われた札幌戦(10月6日)で1ー2と痛恨の黒星を喫し、リーグ優勝を逃す大きな要因となった。
勝つべき試合で躓かないためには、単純なプレーのクオリティ以外にも求められるものがある。「技」の部分に問題はない。「心」の部分も成熟しているかが試される。前節、C大阪に敗れたというのは1つの心理的負担になるだろう。内容的に悲観する必要のない試合ではあったが、下位のチームから勝点を取りこぼしたというのは紛れもない事実だ。
徳島戦がどんな内容になるにせよ、2試合連続で取りこぼすわけにはいかない。ましてや連敗など絶対に許されない。今季は一度も連敗を喫したことがないが、これまで以上のプレッシャーが忍び寄るなかでしっかりと結果を残せるか。
一方の徳島はシーズン開幕からずっと厳しい状況が続いている。順位は開幕から最下位で変動がない。なんとか浮上のきっかけをつかもうと努力しているが、結果になって現れてはいない。最後の踏ん張りどころである大事な終盤戦になっても現在5連敗中となかなかトンネルの出口が見えてこない。
これ以上、黒星を重ねないためには、まず守備を立て直したいところだろう。リーグワーストの総失点60はやはり多すぎる。特に最近は大量失点が続いており、4試合中3試合で4失点以上を喫しているのは大きな問題だ。
もったいないミスから崩れていることも多いので、中途半端なプレーをなくしていくことが求められる。選手たちが厳しい精神状態に追い込まれているのは想像に難くないが、ここで踏ん張らなければ先は見えてこない。
チームの建て直しを図る上で、右足舟状骨疲労骨折で戦列を離れていた橋内優也が4カ月ぶりに実戦復帰したのは好材料だろう。同じく故障で離脱していた衛藤裕、福元洋平も戻ってきた。軸となる選手の復帰を起爆剤にしたい。
徳島は前回浦和と対戦した際にはミラーゲームに持ち込んで我慢する戦い方で挑んだが、今回もほぼ同じような試合展開になるだろう。フォーメーションが噛み合うことを生かして浦和の長所を消し、カウンターに活路を見出そうとするはずだ。
浦和にボールを回されながらも最終局面では食い止める。それができればアップセットの可能性は高まる。ただ、浦和はそういう出方をしてくる相手との戦いにはもう慣れていて、崩すための攻め手も持ち合わせている。今週の練習でもミラーゲーム攻略のための手筋を確認していた。
目標は違えど、ともに負けられぬ一戦。浦和が力で押し切るか、それとも徳島が一泡吹かせることになるか。
以上
2014.10.04 Reported by 神谷正明