西京極の京都と横浜FCの激しいゲームは、京都が接戦を制して、ホームで6試合ぶりに勝利を収めた。
横浜FCは、トップにパクソンホを置き、その下に松下年宏を配置。京都は前節と同じメンバーで臨む。
序盤から激しい戦いを演じた両チーム。横浜FCが素早いプレスを仕掛け、京都がそこをかわす様に裏へ送る展開が続く。ハーフタイムコメントでも「両サイドでしっかりボールを拾っていくこと」(京都・川勝良一監督)、「相手のロングボールをしっかり拾うこと」とある様に、長いボールの応酬となった。
その中で、横浜FCがサイドへ展開してチャンスを掴む。前半23分、左サイドで小池純輝から中島崇典へ。中島のクロスに飛び込んだのは松下年宏。頭で合わせて横浜FCが先制する。
これで落ち着いた横浜FCと点を取るしかなくなった京都。互いにジリジリとした時間の中で前半ラストプレー。京都は右CKで石櫃洋祐が入れ、その跳ね返りを再び石櫃。相手マークを振り切り低いクロスを入れると、相手DFの前に足の先だけ入れたのは大黒将志。足に触れたボールは絶妙な弧を描き横浜FCゴールに吸い込まれる。1−1の同点。大黒の信じられない様なシュートで京都が前半終了間際に追いつく。
後半に入ると京都が積極的な守備からボールを奪い始める。だが横浜FCもその京都の背後を狙う。そして後半8分、横浜FCの攻撃を潰し、こぼれたボールを酒井隆介が前へ送ると、駒井善成がドリブルに入る。中央では大黒が走り込み、相手はそのパスコースを防ぐ。その中で駒井はドリブルから足を振り抜きシュート。これが横浜FCゴールに突き刺さる。京都、駒井の今季初ゴールで逆転。
しかし、ゲームはこのままでは終わらない。後半33分、右サイド石櫃のクロスに大黒が頭で合わせ決定機を作るが、相手DFがブロックで止めると横浜FCが速攻に入る。これを絶妙な判断でストップした工藤浩平にこの試合2枚目の警告が出て退場処分。京都が10人になる。工藤、今節警告を受けたバヤリッツァ共に次節、出場停止となる。
これで守る京都、攻める横浜FCという図式が出来、試合が進む。だが京都はオスンフンが抜群の働きを見せ、守備をしめる。終了間際には大黒の突破から京都も決定機を作り、横浜FCのフリーでのシュートをオスンフンがストップし、最後まで集中を切らさなかった京都。結局このまま逃げ切り2−1で、欲しかったホームゲームでの勝点3を獲得した。
試合後、山口素弘監督は「何もないところから相手に点を与えてしまった」と悔しがったが、京都も前節、湘南に最後、まさかの失点を喫した(と言っては湘南・島村に対し失礼だが……)。今度は大黒がワールドレベルのシュートを見せて京都を救ってくれた。何が起こるか分からない。これは京都にとっても良い教訓になったのではないか。
京都については、もう、勝ったのだから何もない。それで全てである。昇格プレーオフに進出したい。そのために何が必要か?勝利のみである。負けたら終わり、勝てば階段を登れる。次、あるのみだ。内容について全てが良かったとは思わないが、例えば、これが昇格プレーオフ決勝だったら試合記事は内容云々以上に「勝って良かった」となる。それと似た様なものだ。「良いサッカー」と「悪いサッカー」から、「勝つサッカー」と「勝てずに何も手に入らないサッカー」へと状況が変わったということ。その中で「勝った」のだから「素晴らしい」の一言である。次も同じ、「勝てずに何も手に入らない」のが嫌なら、勝たねばならない。
以上
2014.09.29 Reported by 武田賢宗