F東京は27日、武藤嘉紀とエドゥーの2トップがそれぞれ2ゴールを挙げ、4−0で柏に勝利を収めた。2連勝で、14戦負けなしとなり、上位進出に向けて負けない東京の進撃はまだまだ止まらない。
本懐を遂げたストライカーたちは試合後、チームメートたちが届けてくれたパスに感謝の言葉を贈り、改めてチームのために得点を誓った。
「2点とも、良いパスをくれた、感謝したい。チームのために得点したいし、上位に食い込んでいくためにも取っていきたい」(武藤)
「FWは勝敗に影響するポジションだからこそ、ゴールを決めたい。今日はパスが出てくると信じていた」(エドゥー)
試合開始4分、F東京DF徳永悠平が右サイドでボールを持つと、縦に切り裂いた。虚を突かれた柏DFは、慌てて戻るが、間に合わず。中央へとクロスを送った。背番号「2」は、DFとGKの間に教科書どおりのボールを届けた。そこに走り込んだFW武藤嘉紀が左ひざで押し込み、F東京が先制した。そのクロスを上げた徳永は言う。
「自分の特長ではないかもしれないが、ああいうところに上げていけばチャンスになる。決定機の時に質の高いボールを送る。それは上にいくためには必要なこと」
そして、F東京が先制して守備を固めると、ボールを保持した柏が徐々に勢いを取り戻していく。その矢先だった。前半アディショナルタイム、MF河野広貴が中盤で相手ボールを奪うと、一気にボールを運ぶ。そこで、最終ラインを抜け出そうとする武藤へと鮮やかにスルーパスを通した。パスを受けた武藤は、迫り来るGKの鼻先でボールを浮かせ、2点目を決めた。
さらに、河野は後半の50分にも好機を演出する。武藤が中盤で2度追いし、奪ったボールをワンタッチで最終ラインの裏へと抜け出すエドゥーに送った。背番号「11」は、これを確実に決めてリードを広げた。
柏にとっては、前半終了間際と、後半開始直後に奪われた失点はずしりと重く響いたはずだ。ネルシーニョ監督も「立ち上がりの3分の失点から、よくチームとして持ち直すことができたと思っている。自分たちのゲームプランでは、攻撃の部分が特に出せていた。ゴールまであと一歩というシーンもつくれた。ただ、終了間際の2失点目がかなりこたえた」と肩を落とす。さらに、ハーフタイムを終えて立て直そうとした矢先に、再び突き放されて勝負が決まった。
その2つの好機をつくりだした河野は、「エドゥーにも、ヨッチにも良いタイミングで出せた。パスもあるでしょ」と笑顔で胸を張った。
そして、ラストは左サイドから弧を描くクロスで得点を生み出した男の登場だ。太田宏介は74分、左サイドでパスを受けて前を向くと、ニアに走り込むエドゥーへとピンポイントクロス。ストライカーはこれを左足で合わせてゴールショーのオオトリを飾った。
太田は、このシーンを振り返り、「エドゥーには練習中からずっとクロスへの入り方を要求してきた。それがゲームで生きたと思う。力まず合わせてくれた」と言い、「伝家の宝刀さく裂ですわ」と自慢のクロスを誇った。
主演も助演も会心の出来だった。ただし、4−0の快勝は、全員が指揮官の与えたタスクを守り、体を張り、走り切った上に成り立っている。リーグ序盤は「今年の東京は、よく走るね、よく戦うね」という声を頻繁に聞いた。気づくと、そうした声は少し減ってきたように思える。なぜなら、どの試合でもそれが当たり前のようになってきたからだろう。それだけ周りの目も、求められる基準も上がっているのだ。それこそ、手にした成長の実感だと言える、ふとそう思えた。
以上
2014.09.28 Reported by 馬場康平