9試合を残すのみとなったJ1にて、第26節に顔を合わせるのは、どん底にあえぐ桜と、頂点に向かっていく赤。前節、前々節と2連敗し、J2降格枠の16位から抜け出せずにいるC大阪が、4連勝で勝点を53に伸ばして、2006年以来となるリーグチャンピオンへ邁進し続ける首位・浦和との一戦に臨む。
C大阪としては、前節の名古屋戦に引き続き、この1週間でホーム2連戦となるだけに、そのアドバンテージを活かして、強敵相手に勝利を奪い、J1残留に向けての起爆剤としていきたいところ。一方の浦和としては、07年のとき、今回と同じように首位に立ちながら、逆転でタイトルを逃した経験を持つだけに、その二の舞を避けるためにも、下位からの取りこぼしは許されない。どちらも、何より白星が欲しい試合となる。
柿谷曜一朗(現バーゼル/スイス)、山口蛍、フォルラン、南野拓実らをはじめ、豪華なタレントを揃えながら、前半戦から苦しみ続けたC大阪。その象徴的な試合が、前回の浦和との対戦となった、5月17日の第14節だった。5月13日のACLラウンド16から、中3日というタイトな日程だったとはいえ、その広州恒大との中国・広州でのアウェイ戦では軒並み主軸を温存し、フォルランも帯同せず。今季の目玉である10番(フォルラン)をはじめ、ベストの陣容が揃っていたのは浦和戦のほうだった。
しかし、そのときは「史上最攻」と謳っていた姿はすでに消え失せ、浦和の攻撃をただひたすら受けるばかり。「あのときはチームとしても個人としても何もできなかった」と山下達也も振り返るような悔しい内容で敗北を喫した。
しかも、浦和のペトロヴィッチ監督からは、当時の試合後「『カラスが鵜(う)の真似をすると溺れる』」「C大阪もクルピさんのサッカーを引き継いでいれば、今あるようなことにはならなかったのではないかなと思わないこともない」などとまで言われてしまう始末。敵将からの厳しい指摘は、C大阪のクラブとしての今季のあり方も問われるものであり、あまりに屈辱的なものだ。たが、まさにその言葉の通りのシーズンを送るC大阪は、当時の一戦を契機に監督交代が行われただけでなく、その後も11戦勝ちなしと低迷を続け、指揮官も3人目に。この非常事態のなか、凋落の流れを止めるためには、そのきっかけとなった前回の浦和戦のリベンジを、ここで果たすことが不可欠であり、勝利こそが自らのプライドを取り戻すための、チーム再生への一歩となるはずだ。
ただし、当時と違うのは、C大阪が、大熊裕司監督のもと、新指揮官がよく知る育成出身の若手生え抜き選手を中心に『走る』『戦う』サッカーを攻守に貫いていること。さらには、新戦力として元ドイツ代表のカカウが加わり、しかも、その33番は前節初得点を決め、調子を上げていること。「人生、何かを勝ち取ろうと思えば、みんなが気持ちを1つにして、チームとして結果を出さなければ、闘わなければいけないわけで、そこはみんな1人ひとりが考えていかなければいけない」とイレブンを鼓舞するブラジル人をはじめ、桜色の戦士たちは、危機感を持って、首位の浦和にぶつかっていく。
果たして、前回と同じように、浦和が多彩な攻撃で試合を圧倒的に支配するシーンが、長居でも見られるのか。それとも、C大阪が90分走り回って赤の躍進を食い止めるのか。ポイントとなるのは、先制点の行方。特にC大阪は、最近2試合の課題を克服するためにも、勢いを取り戻すためにも、試合の入りから、全身全霊で挑まなければならないだろう。
以上
2014.09.26 Reported by 前田敏勝