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【J1:第25節 大宮 vs 川崎F】プレビュー:降格圏脱出を目論む大宮、首位追撃の川崎F。前日練習を非公開とした渋谷新監督に秘策は?(14.09.22)



前節、アウェイ徳島戦を2-0で勝利したことで、大宮は渋谷洋樹新監督の就任以来、公式戦3連勝、リーグ戦2連勝を飾った。順位は17位と変わらないが、16位には勝点1差、残留圏の15位に勝点2差、さらに13位と14位にも勝点3差で、並べば得失点差で上回ることが可能な位置まで浮上した。しかしここで立ちはだかるのは、首位浦和を勝点6差で追う2位・川崎F。この勢いを大事にしたい大宮にとって、最大の難敵といっていいだろう。

中2日の過密日程は渋谷監督に難しい判断を迫らせる。前々節の鹿島戦、徳島戦と大宮はスタメンを固定して戦って結果を出している。通常であれば同じメンバーで臨みたいところだが、徳島戦では試合前からコンディション不良を抱えていた家長昭博が相手選手との接触で足首を痛めて途中交代したのに加え、ムルジャもプレー中に腰を痛めた。ズラタンや中村北斗らのようにコンディション万全でないが役割として代えが効かない選手もいれば、泉澤仁や横山知伸らのようにフル出場の連戦に慣れていない選手、さらには警告数がリーチに達した選手もいる。しかも大宮にとっては、続いて中3日(9/27@NACK)で戦う13位(現在)の清水こそが何としても直接叩きたい相手である。
もちろん、そうしたいわゆる『星勘定』に基づく選手起用を、渋谷監督は「落としてもいいというような考えでは、もし競った試合になったときに勝ちきることはできない」と言下に否定する。「清水戦、甲府戦(10/5@中銀スタ)のことは頭にない」と。ただ一方で、「(控えで)調子の良い選手を使ってあげたいし、トライさせたい選手もいる」と言う。休ませるべき選手は休ませ、同時に川崎Fに対して一戦必勝の態勢をどう準備するか、新監督の苦悩は深い。

川崎Fも中2日は同じ条件だが、こちらは大久保嘉人とジェシが出場停止明けで復帰してくるのは大きなプラス。ヤマザキナビスコカップを回避していた中村憲剛に疲労の蓄積は心配されるが、たとえ体が重いなりにも高い技術でそれをカバーし、ゲームを決める能力を持っているだけに、大宮にとっては警戒が減ることはない。
大島僚太がアジア大会に出場、森谷賢太郎が負傷離脱しているため、このところ川崎Fは4-2-3-1の布陣を敷き、中村はトップ下でプレーしている。前節・F東京戦ではパウリーニョと谷口彰悟がダブルボランチを組み、安定した守備を見せたが、一方で攻撃ではボランチから有効にゲームを作る場面は少なく、中村のアイディアとレナトの打開力頼みになったところが、無得点に終わった要因の一つといえた。大宮にとっては、守備で多少は的を絞ることができるかもしれない。レナトに対しては、第3節の対戦で抑え込んだ今井智基が対応には自信を持っている。そしてキーマンである「中村にパスを入れさせないのか、入ったときに対応する守備にするのか、それを考えたい」と、試合前々日に渋谷監督は語った。

その大宮は、試合前日を非公開練習とした。徳島戦の反省として「攻守がセパレートしているところが多々あった。ボールを持ったときにバランス良くポジションを取り、後ろも押し上げてコンパクトに攻撃することで、オープンゲームにならないようにしたい」(渋谷監督)と、まずはその意識付けを行ったと見られる。そして当然、川崎Fへの対策も落とし込まれたはずだ。「川崎Fのアタッカー陣はJ1屈指。前回も3点ともボールを動かされて失点している。最初のプレッシャーをかける人が大事で、そのタイミング、距離感がしっかりしていなければチンチンにされる」(渋谷監督)。
状況は、昨年第24節の横浜FM戦に似ている。あのときは首位を相手に、中2日。当時の小倉勉監督も前日練習を非公開とし、蓋を開けてみればトップ下の中村俊輔にアンカーをマンマークで当てる4-1-4-1の布陣で臨み、勝利を引き寄せた。渋谷監督も練習で1度、アンカーに置く4-3-3の布陣を試したことがあり、選手の疲労や負傷も鑑みて、思いきった手を打つ可能性もゼロではない。

いずれにしても、2位と17位の対戦である。彼我の間に、その順位通りの実力差があることを、大宮は謙虚に認めなければならない。最大の懸案である守備の立て直しは、いまだ発展途上。鹿島に競り勝ち、徳島を無失点に抑えたとはいえ、最後のところで体を張れていることと、「相手の精度の低さに助けられた」(横山)ところが大きく、「(守備の)ゾーンの攻略の解決策を持っている可能性がある」(渋谷監督)川崎Fを相手に、抑えることは難しいだろう。いかにコンパクトさを保ち、集中してゾーンの間を使わせず、中央を閉じてボールを引っ掛けられるか。川崎Fが焦れてボランチやサイドバックも攻撃参加してくれば、泉澤、ズラタン、ムルジャによるカウンターがハマりやすい相手でもある。前回対戦もそうだったし、直近ではヤマザキナビスコカップ準々決勝の第2戦(vsC大阪)など、守備でいったん受け身の態勢になると、川崎Fは意外に脆い一面もある。大宮が降格圏脱出を果たすか、川崎Fが首位を追撃できるか、激しい試合になることは間違いない。

以上

2014.09.22 Reported by 芥川和久
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