それぞれのJ2開幕戦――。ペリクレス シャムスカ新監督の下、新たなチーム作りを始めた磐田。就任2年目の財前恵一監督の下、さらなる熟成を目指す札幌。開幕戦を制し、今季を白星でスタートをさせるのはどちらか。
昨季J1で17位と低迷し、J2という屈辱を味わったのは磐田。新スタッフ、新戦力と共に1年でのJ1復帰を目指す。
注目の新戦力は約10年ぶりのJリーグとなる松井大輔。日本代表メンバーとして2010FIFAワールドカップ南アフリカ大会に臨み、ベスト16進出に貢献。フランス、ロシア、ブルガリア、ポーランドと4か国のクラブチームを渡り歩いた国際経験はやはり別格であり、攻撃のキープレーヤーとなることは間違いない。「チームの雰囲気は明るいし、楽しくやる時は楽しく、やる時はやるというめりはりがある。試合を重ねる中でチームとしてさらに成長できれば」と今季を見据える。磐田での主戦場は[4-2-3-1]の2列目中央となる。
このほか昨季J2で16得点をマークした新戦力・ポポ、背番号10・山田大記が2列目に入る。1トップのエース・前田遼一を加えた4枚が流動的に動き、攻撃を仕掛ける。右サイドバック・駒野友一の攻撃参加も健在だ。「おそらく、敵陣にボールがある時間が長くなると思う」と語っていたのは最終ラインの伊野波雅彦。チームとしてのボールポゼッション能力は磐田が札幌を上回る。その中でいかに揺さぶりをかけ、いかにゴールを奪うかが焦点となる。
チームを指揮するのは09年の大分以来約5年ぶりにJリーグの舞台に立つシャムスカ監督。自信は、ある。「札幌についてはもちろん研究はしているし、開幕戦ということで非常に難しい戦いになる。ただ、特に攻撃面で質の高いものをお見せできると思っている」(同監督)。新生・ジュビロがいよいよベールを脱ぐ――。
一方、アウェイ・札幌はけが人に悩まされ、ベストメンバーを組めない状況でシーズン開幕を迎える。センターバックの奈良竜樹が右足首骨折、右サイドバックの日高拓磨が左腸腰筋の肉離れでそれぞれ欠場。さらにボランチ・河合竜二、センターバック・パウロンも負傷によりこの試合の出場は微妙な状況だ。だからこそ、守備陣では金山隼樹、攻撃陣では石井謙伍、菊岡拓朗といった新戦力のパフォーマンスが鍵となる。
ヤマハにはいいイメージを持っているはずだ。札幌は昨季、10月の天皇杯3回戦で磐田と対戦。ヤマハで行われたゲームを神田夢実(現・相模原)の決勝ゴールでものにしている。粘り強いディフェンスで磐田・前田遼一をシュート0本に封じ込め、完封。守備からリズムを作り、鋭いカウンターを仕掛け、シュート数でも磐田を上回った。昨季の天皇杯からは互いに多少メンバーが入れ替わっているが、今回の対戦でもまずは堅実な守備がベースとなるだろう。
タイトな守備でボールを奪い、ベテラン・砂川 誠、期待の若手・荒野拓馬、ナンバー『10』を背負う宮澤裕樹ら中盤を上手く経由し、前線へボールを運びたい。磐田・駒野友一は「札幌はつないでくるチーム。プレッシャーに行くところと行かないところをチームとして合わせなければいけない」と警戒する。最前線には昨季J2で17得点を叩き出したFW・内村圭宏がいるだけに、いかにそこへボールを供給できるか。
対照的なチーム状況ではあるが、今季J2の幕開けにふさわしい好ゲームを期待したい。
以上
2014.03.01 Reported by 南間健治