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【J1:第26節 大分 vs 湘南】レポート:残留への分岐点。勝負所でのシビアさが明暗を分け、湘南が大分との裏天王山を制した(13.09.22)

「非常に重要な試合だとお互い分かっていたので固い試合になると思っていた」と試合後に田坂和昭監督が語ったように、序盤から試合はこう着した。その原因のひとつに16位と18位の直接対決で当然負けが許されないサバイバルマッチであったこと。もうひとつは両チームの選手ががっぷり四つに対峙したことにある。3トップに3バック、アウトサイドにアウトサイドと、マッチアップの構図が成り立っていた。となれば、いかにマークをかい潜って味方をサポートできるか、あるいは前掛かりになった相手の裏を取れるかがカギとなる。この点で大分は後手に回った。

3バックの真ん中でラインを統率していた高木和道は、「見えないプレッシャーを感じて人任せになったところがあった」と感じたようだ。「パスを受けに行かず、バラバラではないが、どこがチグハグで前にボールを集めて攻撃するのか、サイドからなのかはっきりしなかった」と言うように、テーマを遂行できなかったことが大きかった。
1トップの高松大樹にボールが入っても、チーム全体の出足の鈍さが影響したため、フォローがなく簡単にボールを奪われた。ならばとサイドにボールを動かしても、連動した動きはなく、チェ・ジョンハンの単独の仕掛けしか相手の守備陣を打開する方法がなかった。さらに追い打ちを掛けるように、先制点を喫した10分後に、湘南のゴール前のフィードに対し、清水圭介と若狭大志が交錯し、清水が負傷退場。早々と交代のカードを1枚切り、プランが崩れた。

一方、この日の湘南のテーマは「勝点3を持ち帰る」だった。「お互い勝ちたい気持ちがぶつかって、球際などでいつも以上にハードなプレーが多かった」と曹貴栽監督が口にしたように、1対1で競り勝つことで主導権を握ろうとした。比較的相手のマークが緩むボランチの永木亮太とハン・グギョンを起点に、ウェリントンが左に流れることが多い前線では、大竹洋平が中央にポジションを移し、ボールを受ける回数が増えるとともに流れを手繰り寄せた。
先制点は大竹のループシュートのようなクロスがバーに当たり、ボールウォッチャーになっていた大分ディフェンス陣を横目に、武富孝介が素早く反応しゴールに押し込んだ。前半に1点返されたものの、後半も第17節以来の先発出場の武富が、CKからのこぼれ球に反応し追加点を奪った。

これまで出場機会に恵まれなかった武富が、「(先発の意図は)1つではないが、シンプルにマックスのプレーができると確信があったから」と監督の期待に応えて結果を出す。終盤戦でのニューヒーローの登場はチームの勢いが増す。ロッカールームから出てきた武富は、「2得点したが、今日に限ってはアピールしようとしたのではなく、チームが勝たなければいけなかった状況なんで、自分のためというのはなかった」と浮かれた様子はなく、「(残り8試合で)勝点24を取るために全力を尽くす」と、次の戦いへと意識を切り替えた。
この危機感がある限り、湘南はJ1残留の可能性は十分に考えられる。

大事な試合を落とした大分は深刻だ。次節、9月28日の第27節・鹿島戦(@カシマ)の結果次第では、昨年の札幌の9月29日、J2最速スピード降格のワースト記録を1日早く塗り替える可能性がある。
明暗を分ける結果となった。

以上

2013.09.22 Reported by 柚野真也
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