「絶対に負けられない戦いがある」
あるTV局のサッカー番組の名文句だが、今の岐阜は負けられないという悠長なことは言っていられない。
「絶対に勝たなければいけない戦いがある」
それがこの鳥取戦だ。J2リーグもいよいよ佳境に入り、J2残留争いも待ったなしの状況になった。いまだ最下位に沈む岐阜だが、前節、残留争いのライバル・群馬に1-0と勝利し、勝点差3に縮めると、21位の鳥取とは勝点差なしの状況にある。この勢いを持って鳥取に勝利することが出来れば、最下位脱出できる。当然、鳥取からしてみても、絶対に勝たないといけない試合。両チームとも崖っぷちの大一番となる。
岐阜のポイントは守備にある。新井辰也と木谷公亮のCBコンビが安定してきているだけに、サイドの守備をどう機能させるか。センタリングを簡単にあげさせないことや、ショートカウンターを仕掛けた時のサイドのリスクマネジメントをしっかりとしないと、不用意な失点をしてしまう危険性がある。ここ7試合、2点以上を取った試合がなく、失点を喫すると、一気に敗戦の確率が高くなるだけに、集中を切らさず守りきらなければならない。
攻撃面では今季通しての課題である、奪ったボールのカウンターの精度。全体的なビルドアップやサイドを使うタイミング、さらにMF美尾敦らが裏に抜ける瞬間にパスを通すことが出来るか。カウンターの起点という面では、前線でスティッペや、前節殊勲の決勝弾を挙げたバージェが体を張ってボールを収められるようになり、バイタルエリアで人数をかけて仕掛けられるようになった。この好転をどう生かし切るか。2列目の選手の奮起に期待したい。
鳥取は今季7得点のFW久保裕一、岐阜でプレーした経験のあるFW廣田隆治らアタッカー陣がどこまで奮起するか。サイドからの崩しをきっちりと得点に結びつけることが出来るか。岐阜と同様に、ここ5試合は2点以上取れておらず、勝ちきれていない。前節も愛媛を相手に、0-1のリードを許し、終盤に追いついた。岐阜同様に得点力不足がネックになっており、この試合でそれを改善するきっかけとなるか。
「守ってばっかりいては勝てない」。
先月のアウェイ・千葉戦で岐阜の辛島啓珠監督が語ったように、残留に向けては攻撃力がポイントとなる。守備を安定させることはあくまで前提条件であり、必須条件。そこからさらに残留の可能性を高めるためには、それだけではいけない。それは両チームに当てはまる。
この試合、必須条件の守備の安定を見せつつ、攻撃力の好転の兆しを掴めるのはどちらのチームか。
勝たなければいけない決戦。場所は関ヶ原にほど近い、初の大垣市にある浅中陸上競技場開催。生き残りに対し、本物の意地を見せるのはどちらのチームか。天下分け目の決戦に注目だ。
以上
2013.09.21 Reported by 安藤隆人