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【J2日記】千葉:チームからもっと頼られる選手に(13.06.26)

千葉が4試合勝利なしで迎えたJ2リーグ第20節・徳島戦。前半に兵働昭弘選手の見事な無回転のミドルシュートで先制したものの、後半は徳島の反撃を受けて65分に失点。その3分後に決勝点となるゴールを決めたのが、今季初スタメンだった伊藤大介選手だった。

昨年の12月12日だったと思う。
木山隆之監督(当時)はシーズン終了と同時に千葉を去ることが決まっていたが、筆者は佐藤勇人選手から「前に自分と(佐藤)健太郎、(伊藤)大介の3人で木山監督に呼ばれて『ボランチを補強しないのはお前たち3人を信用しているからだ』と言われました。自分たち3人でしっかりやっていかなくちゃいけないと思いました」と聞いたことがあり、そのことを伊藤選手に尋ねてみた。「監督の信頼は、選手としてうれしかったんじゃないですか」と…。
すると伊藤選手は「でも、勇人くんや健太郎くんが試合に出られなかった時、ボランチのスタメンはヒョウさん(兵働昭弘選手)でしたけどね」と苦笑交じりに答えた。
さらに筆者が「来年(2013年)は新しい監督なので、レギュラー争いは横一線からの勝負ですね」と聞いたときにも、伊藤選手は冗談交じりの口調ではあったが「来年、僕はここにいるかわからないですけどね」とこちらが思わずドキリとすることを言った。

伊藤選手の出場試合は2011年が24試合、2012年が25試合とほぼ同数だが、スタメンで出たのは2011年の22試合から2012年には19試合と減ったことも伊藤選手の気持ちに影響を与えたのかもしれない。だが、伊藤選手が順天堂大学4年生だった2009年、まだ千葉への加入が決まっていなかった9月に「僕はジェフ(千葉)がJ1であろうとJ2であろうとかまわない。僕はジェフ(千葉)でプレーしたいんです」という言葉を聞いた身としてはとても寂しく思う発言だった。

それでも、優れた攻撃センスを持ち、攻撃のスイッチを入れるような勝負の縦パスや得点チャンスを作る絶妙なラストパスを出し、時にはゴール前に走りこんで思い切りのよいシュートを打つ伊藤選手の姿が、昨季の後半はあまり見られなかったのは事実だ。昨年の第92回天皇杯の準々決勝・鹿島戦の試合中、筆者の後ろの記者席に座った知り合いの記者から「伊藤がスタメンで使われない訳がわかりました。今日みたいに縦にパスが入れられないんじゃ厳しいですよね」と言われた時は、本当に残念な気持ちだった。

今季になって初めて伊藤選手に会った時、昨年聞いた言葉が気になっていたことを伝えると、伊藤選手は「プロ選手として自分を必要としてくれるチームに行くのもいいのかなと考えたんです。でも、今季は千葉で頑張ります」と話した。だが、スタメン争いはやはり厳しく、第18節終了時点で伊藤選手が出場した6試合はすべて交代出場で、トータルの出場時間は79分間。そして、伊藤選手のプレーにはまだもの足りなさがあった。

しかし、第19節・横浜FC戦で佐藤勇選手が負傷したため、代わりに18分から出場した伊藤選手は、相手の背後に出ようとする田中佑昌選手をうまく生かすスルーパスを出すなど攻撃面で貢献。それでも引き分けに終わったことに「今日はまず勝利という結果を残したかったですし、得点やアシストいう結果が出せればよかったですけど、悔しいです」と話した。そして、鈴木淳監督から横浜FC戦での攻撃面を評価されてスタメン出場した前述の徳島戦では立ち上がりから積極的にミドルシュートを打ち、勝負の縦パスを狙った。そして、68分、こぼれ球にいち早く反応して前にボールを入れ、ナム スンウ選手が落としたボールを逃さずシュート。千葉に5試合ぶりの勝利をもたらすゴールを奪った。

試合に出られないからといって「チームから必要とされない選手」という考え方には賛成できない。伊藤選手には課題の守備面や運動量、そして武器である攻撃面にももっと磨きをかけてレベルアップし、千葉というチームからもっと頼られる選手になってほしい。

以上

2013.06.26 Reported by 赤沼圭子

第20節に今季初スタメンを飾り決勝ゴールを決めた伊藤大介選手。

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