今年で9回目となるいばらきサッカーフェスティバルが今年も開催される。交互に開催されてきたこの大会。今回の会場は芝生の全面張り替えが完了したカシマサッカースタジアムだ。カテゴリーは違えど、鹿島アントラーズは11位、水戸ホーリーホックも13位と両チームともに昨季のリーグ戦では成績がふるわなかった。新シーズンの開幕に向けてキャンプなどで積み重ねてきた努力の成果を、一新されたピッチで試し、結果と内容を求めたいところである。
ただし、両リームともにチームの顔ぶれが変わった部分があるため、戦術の浸透度やチームがどれだけできあがっているのか未知数だ。水戸はディフェンスラインが大きく入れ替わり、ボランチで効いていたロメロ フランクも移籍してしまった。リーグ開幕を1週間後に控え、柱谷哲二監督がどのように守備を構築していくのか、腕の見せ所である。また、鹿島も、ダヴィや野沢拓也という力のある選手をどこのポジションにはめこみ、どうやってチーム力を上乗せしていくのか、その手の内をトニーニョ セレーゾ監督は見せていない。紅白戦に近い戦術練習でも、「両チームのバランスが取れるようにしている」と、主力とサブに分けるのではなく、誰が出ても同じようなサッカーができるように取り組んできた。平準化していたチーム力をどの選手を起用して先鋭化させるのか、こちらも見物である。
ただ、「先発11人に優秀な選手がいればいいわけではない。怪我や累積のときもチーム力を持続できるようにしたい」と話していた通り、今週の練習中に岩政大樹が負傷してしまった。いきなりチーム力を落とさない戦いが試される。相手のFWには、かつて鹿島の前線を牽引していた鈴木隆行がいる。青木剛が「対戦するのが楽しみ」と話していたが、カウンターを狙う水戸の起点となる選手なだけに、鈴木がキープできれば水戸の攻撃に鋭さが増し、鹿島のDF陣が仕事をさせなければボール支配率を高めることができるだろう。どちらが優位に立つかで試合の展開は大きく変わる。
鹿島としては、守備の再構築に長い時間をかけて取り組んできた。前線から最終ラインまでをコンパクトに保ち、ボールタッチに難があるポジションにパスが入った瞬間、全員が連動してプレスをかける動きに取り組んできた。相手がカウンターを狙ってくるため、自ずとポゼッション率は高くなるはずだが、自分たちがボールを失った瞬間の切り替えを徹底したいところである。
8年ぶりに指揮を執るセレーゾ監督は、チーム作りがうまくいっているのか余裕さえ漂わせている。
「プレシーズンマッチなので特別なことはない。選手がどういうリアクションをするか試す場だ。大事なのは開幕戦だ」
以上
2013.02.23 Reported by 田中滋