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【AFCチャンピオンズリーグ2012 柏 vs 全北現代】プレビュー:Kリーグ王者にして、グループ最大の難敵・全北現代をホームに迎える一戦。ACL初開催の日立台で勝利を掴み取れ!(12.03.21)

公式戦3戦連続未勝利と、柏の調子が上がらない。「いい結果は出ていないとはいえ、内容を見ると1試合ごとにレベルは上がってきている」(ネルシーニョ監督)という言葉に異論はないが、内容が悪くはないからこそ早急に結果へと結び付けたい。

絶対に選手たちは口に出しはしないが、ここ3試合のプレーを見ていると調子の足かせとなっているものは、やはり“疲労”であると思われる。肉体的な疲労が動きを鈍らせ、精神的な疲労が判断を遅らせる。そして、そこから生じるプレーのわずかなズレが、柏に精彩不足を招く。したがって、日立台でのACL初開催となる全北現代戦は、選手の入れ替えが行われても不思議ではないが、19日のトレーニングを見た限りでは変更点はどうやらボランチのみのようだ。ネルシーニョ監督は茨田陽生を栗澤僚一に替えた以外は、先日の浦和戦と同じメンバーを主力組に並べた。

2月のグアムキャンプで負った怪我から、ようやく復帰した栗澤がスタメンに名を連ねる可能性は高い。バイタルエリアで相手のアタッカーを泥臭く封じにかかる昨シーズンの“陰のMVP”は、「球際では強く、相手より先にアプローチに行くことが大事。こういう状況だからこそ、やり続けることが大事」と復帰戦のイメージを語る。昨シーズンのKリーグ王者にして、グループH最強と言われる全北現代は、FWのイ ドングッをはじめ、エニーニョ、ルイスと攻撃陣にタレントを揃え、圧倒的な攻撃力を有するチームだ。特にイ ドングッは187センチと長身。ゴールゲッターのみならず、ターゲットマンとしての戦術的に重要な役割もこなすため、そこに入った後のセカンドボールを柏と全北現代のどちらが制するかで戦況は大きく変わってくるだろう。つまり、柏がセカンドボールの争いで優位に立つためにも、危険察知に長け、執拗なまでに相手に食らい付いてボールを奪える栗澤の存在は非常に心強い。

攻撃に比重を置く全北現代は、ACL初戦の広州恒大戦で1−5と大敗していることから、「柏のカウンターがハマりやすい」とも思いたくなるが、元磐田のイ ガンジンを筆頭にJリーグでのプレー経験を持つチョ ソンファン(元札幌)、イム ユファン(元京都)といった顔ぶれ見ると、守備面に綻びを作るとは考えにくい。むしろレアンドロ ドミンゲスと酒井宏樹の右サイドが封じられた浦和戦を参考に、彼らが柏の攻撃に対応してくるのは想像に容易い。単純にクロスを放り込むだけの攻撃では前述したDFたちの作り上げるブロックを破るのは至難の業になりそうだ。もし田中順也とリカルド ロボが2トップを組むのなら、裏狙い一辺倒ではなく、クサビの縦パスを受ける動きなどで相手のDFを引き出し、ギャップを作る工夫した動きを求めたい。

攻撃が機能すれば守備面に綻びが生じ、守備が安定すれば攻撃が空回りする。この3試合、柏はそんな状況に陥っている。確かに結果が出ていないとはいえ、悲観するほどの試合内容ではなかった。だが「結果は出なかったが、試合内容は良かった」という言葉はもういらない。昨シーズンのJ1初優勝のように「どんなに内容が悪くても勝つ」という“VITORIA”の精神のごとく勝利を挙げることこそ、今の柏には最も必要なのである。「この試合はACLを勝ち抜くうえで重要な一戦になる」(北嶋秀朗)。公式戦3試合未勝利に歯止めをかけるだけでなく、柏が初のアジアタイトルを獲得するためにも、ホームでの全北現代戦は絶対に勝たねばならない。

以上

2012.03.20 Reported by 鈴木潤
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