岡山はホーム開幕の富山戦を1-1、第2節・アウェイ北九州戦をスコアレスドローで終えた。硬さのあった開幕戦、そこから一歩抜け出して攻撃のバリエーションを見せた第2節と、いい方向に進んでいることは明確だ。そこで、敢えて影山雅永監督が選手に伝えた言葉は、「2試合、負けなしっていうと聞こえがいいけど、勝ちなしだからね。これで、次の試合が引き分けだったら許されないよ。澤口雅彦が『次、負けたら終わりの気持ちで行く』って言ったらしいけど、次の水戸戦こそ、そういう態度で臨まないと、あっという間に上位と差が開いてしまう」。これが現在の岡山というチーム全体のメンタルだと言っていい。
今回、ホーム・カンスタに迎える水戸は開幕戦から2連勝中。開幕戦で横浜FCと対戦し、前半10分に先制されたが、両サイドハーフ・小澤司、島田祐輝のゴールで逆転勝利を収めた。第2節は、富山と対戦。26分、左からのクロスを元日本代表・鈴木隆行が頭で合わせ、GKがこぼしたところを小澤がねじ込み、1-0で勝利している。岡山と同じフォーメーションを採用する富山との戦いでは、3バックの横のスペースを狙うサイド攻撃を繰り返し、そこで存在感を発揮したのはやはり、鈴木。難しいボールも収めて起点となり、サイドに送ってアクセントを作り、また自らも好機を生かす突破を見せた。得点を決めてきた両サイドハーフに加え、水戸の両サイドに厚みを持たせるのは、さらにサイドバックの市川大祐(甲府から加入・元日本代表)、輪湖直樹(徳島から加入)。またトップ下に名古屋から加入した橋本晃司を配し、攻撃のバリエーションを膨らませるメンバーが揃っているのが、現在の水戸だ。
攻撃のバリエーションという点では、岡山も手応えを掴みつつある。北九州戦ではチアゴ、金民均、桑田慎一朗という岡山の3トップ(または0トップ)が前線からプレスを効かせながら、目指してきた形をいくつか発揮した。ワイドの服部公太との連係で決定機を作った桑田は、「回数は作れたと思うので、後はスピード、人数、それと取ってやるぞという気持ちが大事かなと。もっとゴール前で迫力持ってプレーできれば、点は取れると思う」と話す。また、前へと仕掛けるボランチ・関戸健二は、金民均とポジションを交代しながら攻め上がるシーンを増やしたい。前節は、交代で20分間だけの出場だったが、石原崇兆の仕掛けも、さらに強気に狡猾になっていくはずだ。岡山もメンバーは揃っている。「なかなか点が取れないのを自覚して、珍しく居残りでシュート練習をしている」(影山監督)金民均、コンディションのいいチアゴらの決定力に期待だ。ちなみにチアゴの頭の中には、次のゴールダンスの構想があるそうだ。
今週、影山監督が話したのは、守備面の安定だった。とくにDF陣への称賛を惜しまず、「厳しく潰し、カバーするという仕事を続けてくれている」と話した。後藤圭太は、「今はディフェンス全体でうまくやれている。でも、誰かを頼る気持ちが出たらすぐにやられてしまう。常に危機感を忘れない」と話す。危惧すべきは、岡山が攻撃に出たところで水戸のブロックを突破できず、逆にボールを奪われて、アイデアのある鈴木らのいる前線に運ばれること。岡山が切り替えの意識を最大限に研ぎ澄ませて臨むこのゲームは、水戸にとっては今季初のアウェイ戦だ。2戦連続で出場したボランチの西岡謙太が怪我で欠場となるが、ともにスピード感を持って躍動する好ゲームとなることは間違いない。
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2012.03.16 Reported by 尾原千明