●ジョルジーニョ監督(鹿島):
「本当に厳しい試合であったということは事実としてありますし、そのタフさの中、拮抗した中で、現代サッカーのデータとしてセットプレーから得点の七割が出てくるということをミーティングで注意したところですが、集中力を欠いてはいけないのに、残念ながらそれが欠けてしまってそこからの失点になってしまったという残念な部分があります。
けれども、選手達は最後まで同点や逆転を目指して戦い続けて、お互いに手をつないでいた姿勢というものは、非常に収穫としてあると思いますし、まだシーズンは長いですし、多くの勝利を提供することができるのではないかと思います。
残念な部分は、僕もチームも望んでいたデビュー戦の結果ではないですけれど、しっかりとまた取り組んで、素晴らしい能力を持つ選手がいますので、彼らとともにまたシーズンを通していい成績を残すことができればと思います」
Q: 震災で被災した2チームとして注目されるカードですが、監督はチームのモチベーションをどのようにして高めましたか。
「被災だけではなくて、アントラーズの歴史を振り返ってもらえば、アントラーズはリーグから「(Jリーグ入りは)99.9999%不可能」といわれてからのスタートであったし、そこからスタジアムを建設して小さな町にクラブを作り、今ではJリーグで七回優勝しているクラブです。困難な状況からスタートしているクラブであって、悪い条件を勝ち進んでいるクラブです。そういった意味で、いい見本になるのではないかと思います。
選手達には、本当に、被災された方に対して我々ができるのは、スポーツを通じて、サッカーを通じて少しでもいい試合をして、勝利を与えることができれば、和らげることはできませんが、少しの、ほんの一時的な喜びでも与えられれば…と僕はいつも言っています。
それは被災されていた方々だけではなくて、いろんな方々がいるわけであって、苦しんでいる人たちがやはり少しでもサッカーを見て、一日の中の90分という時間でも楽しい時間を過ごしてくれればという気持ちでいますし、いろんなファンサービスも含めて、善意や誠意を示すことの大切さを知っております。
ですから、確かに茨城の方は宮城に比べたら被災された度合いということに関しては少ないかもしれませんが、仙台さんに関しては起こってはほしくないことがありましたが、起こってしまったことは仕方がありませんので、頭を上げて、前を向いて進むきっかけを何らかのかたちで我々が、サッカー人、あるいはスポーツ人として伝えることができればという精神で、みんなで取り組んでいこうという話をしましたし、今日の試合においてはそれが表現されたのではないかと思います。自分達が目指した結果にはなりませんでしたけれど、両チームとも見てくださった方、あるいは被災された方には少しでも勇気あるいは心に何かを残せたのではないかと思っています」
Q: 仙台と戦ってみて、ディフェンス面での印象は?
「練習が積み重なっているチームだな、とやはりわかります。選手達の連係も非常にいいと思います。ただし、そのなかでもジュニーニョ選手にしても大迫選手にしてもチャンスがあったわけであって、ただそこを決まっていれば状況は変わってくるという部分はあったかもしれませんが、いちばんはやはりセットプレーのところ、そこを我々が不注意でやられてしまったというのが現実的な話ではないかと思います」
Q: 久しぶりにJリーグに(監督として)戻ってきた感想は?
「まず、Jリーグに帰ってこられて非常に嬉しく思います。四年間、本当に自分のキャリアにおいて、人生の中でも非常に素晴らしい時間を過ごせたことがありますし、そのなかで再びこういういろんな方々、メディアの皆さんも含め会えるということは非常に喜ばしいことではないかと思います。いろんな試合の采配の中では攻撃的な采配にしましたし、青木選手もベンチに下げてできるだけ攻撃の能力が高い選手をそろえてスピードを生かせればという狙いがありましたし、時折うまくいった場面もありましたし、うまくいかなかったときもありましたけれど、初戦としては良かったのではないかと思っています」
Q: 攻撃の部分でもっと改善しなければいけない部分があればお願いします。
「攻撃だけではなくて守備の部分でも必要ですし、セットプレーの部分でもセカンドボールへの反応で、気が緩んではいけないタイミングで注意しなければいけないし、中盤の部分も良くしなければいけないし、ひとつのことではなくていろんな部分でまだ良くしていかなければいけない部分というのは多くあるのではないかと思いますし、同じように仙台さんも良くしなければいけない部分もあると思います」
以上