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【J2:第10節 熊本 vs 北九州】熊本側レポート:終始ボールを支配しながらも内容的には北九州の思惑にはまった熊本。連敗は阻止したが痛恨のスコアレスドロー。(11.05.05)

5月4日(水) 2011 J2リーグ戦 第10節
熊本 0 - 0 北九州 (15:03/熊本/6,948人)
スカパー!再放送 Ch183 5/5(木)後11:00〜
totoリーグ
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北九州側レポートはこちら

 試合の2日前、「休ませるほどの疲労はない」と話して先発の入れ替えについては濁していた高木琢也監督だったが、「相手に高い選手がいる」ということを理由の一つに、186cmのチョソンジンを左サイドバックに据えた。合わせてここ数試合で「ダイナミックな動きが不足」(同監督)していた片山奨典を先発から外す判断をし、武富孝介を左のサイドハーフに置くという布陣で臨む。北九州のシュートがわずか4本に終わっていることを考えれば、相手の攻撃を抑えるという点においてはこの狙いがはまったと言える。しかし一方の攻撃では、90分間を通して積極性を欠き、結局ゴールを奪えなかった。

 もっとも、入りは決して悪くなかった。前線からのプレッシングもある程度は機能していたし、仲間隼斗らのチェイシングから相手のミスを誘う場面もあり、6分には仲間が粘ってスルーパスで長沢駿を走らせ、9分には左サイドバックとして初先発したチョソンジンから長沢が落として根占真伍、11分にも根占からチョとつないでゴール前にクロスと、北九州のDFラインの裏のスペースを狙う意図が感じ取れる展開は見られ、チャンス自体は作っている。だが徐々に、ボールを支配しているはずの熊本が、北九州のペースにはまっていく。

 特にこの試合では、終盤に押しこんだ残り15分の時間帯になるまで、本来は起点となるべき右サイドバックの市村篤司が攻撃参加できなかったことが少なからず影響している。その理由として、「左のボールサイドに寄りすぎて、チェンジサイドのボールがほとんど出せなかった」と高木監督は話しているが、北九州のラインも深く、攻撃が偏っていた左サイドも含めて2列目以降が飛び出せるようなスペースを消されていた感がある。さらに北九州の三浦泰年監督が「身長の部分で劣る我々のDFが最後まで相手に得点を許さなかった」と話しているように、長沢ら前線の高さを生かすクロスも、「入れるべきところで入れられない」(武富)場面が目についた。長沢自身は「チャンスで決められなかったことに責任を感じている」と振り返っているものの、シュート自体1本で、そもそも勝負できる場面、すなわちゴール正面の中央付近でボールを受ける形そのものが少なかった。

 点が取れなかったことに関して、高木監督は「理由は1つではなく、いくつかの問題があると思う」と述べている。9本というシュート数自体が少なかったわけではないが、決定機と呼べる場面は長沢がくさびのパスを受けて抜けだした33分と、仲間とファビオが絡んだ45分、原田のキックのこぼれをファビオが狙ったものの枠を捉えきれずにバーを越えた64分の3度ほど。前半のチャンスで合わなかったラストパスの精度も含め、これらに関しては高木監督の言う「技術的な部分」ということになろうが、例えば72分に根占が狙ったシュートを北九州GK佐藤優也が弾いたところに誰も詰めていないなど、「メンタル面で反省する部分もあった」(同監督)ことも見逃せない。スタメンの平均年齢を見ると北九州の26.0歳に対して熊本は23.9歳と2歳ほど若く、勢いやアグレッシブな姿勢でそのメリットを発揮したいところだったが、実際にはこうした「押しているのに点が取れない」という流れを変えるには、いささか経験値が不足していたようにも思われる。そうした意味において、前半終了時のコーナーキックの競り合いで負傷交代を余儀なくされた福王忠世の不在は無関係ではなかったかもしれない。

 前節に続いて不完全燃焼という印象が残った北九州との第一戦。GK南雄太はバスに乗り込む直前に「引き分けは2ポイントこぼしているのと一緒」と話したが、ともかく連敗は免れた。勝点1を拾ったことを前向きに捉えて、次の札幌戦に臨むしかない。まだ4/38、90分のゲームで言えば9分過ぎの立ち上がりである。

以上

2011.05.05 Reported by 井芹貴志
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