23日の31節、首位を走る柏レイソルのホーム、日立柏サッカー場に乗り込んだロアッソ熊本。DF陣をはじめ全員で柏の攻撃に対応した戦いが奏効して、21本のシュートを浴びながら無失点で乗り切って引き分け、勝点1を加えました。
この試合、熊本からもツアーバスが出た他、関東在住の熊本県出身者等も含め、アウェイ側ゴール裏スタンドに詰めかけた熊本サポーターは、目測でも150〜200人弱。九州を除けばアウェイゲームに毎回は行けない私も、(鹿島との天皇杯3回戦と天秤にかけた結果)この試合ばかりは「その場」で見ておかなくてはと、柏へ向かったのでした。
熊本にとって、柏は特別なクラブです。
古巣が相手とあって、いつも以上に気迫のこもったプレーを見せた南雄太選手の他にも、清川浩行ヘッドコーチ、加藤竜二GKコーチ、森川拓巳コーチ、現在は運営担当として奔走する元キャプテンの熊谷雅彦さん、飯田正吾チーム統括部長、そして池谷友良総監督GMと、在籍経験のある選手やスタッフが多く、あまりにも所縁がありすぎるのです。
もちろん、クラブとしての歴史や規模など、あらゆる面に差があるのも事実。それでも、今季初めて同じカテゴリーになったにも関わらず、勝手ながら親近感を覚えてしまう。ホームもアウェイもなく、スタジアム全体が一体感に包まれていたのは、そうした背景を持つ2クラブの対戦だったからこそではないかと思うのです。
恒例のパフォーマンスで試合前のスタンドを沸かせた「ウチから行った連中ばっかじゃねーか!(笑)」との声。続く「柏バカ一代」の大合唱と手拍子。熊本のサポーターが南選手のお面をかぶって選手達を迎えれば、柏サポーターは軽いブーイングと温かい拍手でホーム側ゴールのポジションに向かう南選手を迎え、南選手もそれに手を挙げて応える。
そうした場面から感じ取れるのは、サポーターがクラブや(過去に在籍した選手をも含めた)選手達へ——この言葉で表現するにはやや軽いかもしれませんが——愛情を注ぐことによって、選手達やクラブはさらにそれに応えようとする。つまり、言わば気持ちのやりとりがあるということ。
以前から何度も池谷GMの口から聞いていた「柏愛」という言葉の意味が、少し分かった気がします。
人数も迫力も、柏にはまだ及ばないかもしれない。しかしこの日も多くのサポーターが訪れたように、クラブと選手を思う気持ちや、笑いも交えてスタジアムを盛り上げようという気持ちは、熊本だって負けてはいない。
クラブが発足して6年目、Jに上がって3年目と歴史はまだ浅いけれど、サポーターや選手が抱く「熊本愛」は、少しずつ育まれているはず。
「柏愛」を肌で感じながら、そう思いました。
以上
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2010.10.26 Reported by 井芹貴志