10月3日(日) 2010 J1リーグ戦 第25節
磐田 0 - 0 横浜FM (14:03/ヤマハ/11,528人)
スカパー!再放送 Ch183 10/4(月)後05:00〜
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1週間のインターバルがあった横浜FMに対して、磐田のほうは水曜日のナビスコカップ準決勝から中3日。コンディション的には磐田のほうが不利だったが、立ち上がりの勢いで上回ったのは、その磐田のほうだった。前線から厳しくプレッシャーをかけ、素早い囲みで横浜FMがゴールに近づく前にボールを奪い、スピーディーなサイド攻撃で磐田がチャンスを作っていった。
とくに駒野友一と西紀寛のコンビネーションが冴えた右サイドの攻撃は、最近の試合の中でも非常に質が高かった。4分には、駒野のインターセプトから西が右のスペースに好パスを出し、駒野がオーバーラップしてクロス。ファーサイドでフリーになったジウシーニョに速いボールをピタリと合わせた。27分にも、前田遼一がクサビのボールをキープして西に落とし、西が右に出して駒野がクロスという黄金のパターンで美しくサイドを崩し、ファーサイドに入ったボランチの山本康裕(上田康太に代わって先発出場)にピンポイントで合わせた。どちらも最後のヘディングシュートが枠をとらえられなかったが、駒野のクロスは非常に精度が高く、磐田の武器は存分に生かされていた。
また13分の右FKの場面では、船谷圭祐のクロスボールからファーサイドで一際高くジャンプした古賀正紘がヘディングでゴールネットを揺らしたが、ここはファウルの判定でゴールならず。その他にもあと一歩のチャンスが何度かあっただけに、磐田としては良い流れのうちに先制点を奪えなかったことが、この試合でもっとも悔いが残る部分と言える。
そこから試合展開を大きく変えたのは、43分の退場劇だった。横浜FMのカウンターの場面で、山瀬を激しくつぶしに行った古賀にイエローカードが出て、これがこの試合の2枚目。35分の1枚目が古賀にとっては少し不運な判定だったが、前半のうちに10人になってしまったことは、磐田にとっては非常に痛かった。
後半に入ると、磐田は船谷に代えて大井健太郎を入れ、ジウシーニョを左MFに下げて4-4-1の形に変更。前線が前田1枚になって、前から追いきれなくなったことで、DFラインを高く保つことも難しくなった。そのため「中盤は回されてもしょうがないということで、最終的に弾いてカウンターで良い形を作れればと思っていた」(那須大亮)という展開になっていく。
横浜FMのほうは、「前半はジュビロが前から来るなと思っていたので、戦う前から後半勝負というプランはあった」(木村和司監督)という狙いが、数的優位になったことで加速され、完全にボールを支配して磐田の守備ブロックをゴール前に押しこんでいった。しかし、そこから先が、今の横浜FMにとって課題になっているところ。
中央を固めた磐田の守りを、流動的な動きで引きはがすことができず、相手が待ちかまえたところにクロスを入れても、なかなか決定機にはつながらない。それでも、後半開始2分に中村俊輔のパスから山瀬功治が惜しい場面を作り、後半から入った17歳の小野裕二も、5分と14分に惜しいシュートを放つが、どちらも枠をとらえられない。
逆に磐田のほうも、何度かカウンターのチャンスはあったが、肝心のところであと1本のパスが通らず、なかなか決定機には至らないという展開が続いた。13分には山本康のボール奪取からカウンターで貴重な決定機を迎えたが、ジウシーニョのシュートは枠をとらえられず、ここでもチャンスを生かせなかった。
終盤になると、30分の中村の右足シュート、41分の坂田大輔の右足シュート、44分の端戸仁のヘディングシュートなど、横浜FMが決定的なチャンスを増やしたが、GK川口能活の好守に阻まれたり、シュートが枠に行かなかったりで、なかなか1点が決めきれない。とくに、上に外してしまうシュートが多かったことは、ゴール前での余裕のなさの表われと言えるだろう。
そんな中で磐田のほうも、横浜FMに焦りが出てきたスキをついて最後に見せ場を作る。43分にはこの試合唯一のCKから駒野のボールに前田がうまく頭で合わせたが、押さえこみきれず。アディショナルタイムに入った47分に、カウンターから駒野のサイドチェンジが交代出場の菅沼実に通り、左足で決定的なシュートを放つが、ここはGK飯倉大樹が足で止めてチームを救う。その直後には、またも駒野の右クロスから菅沼が今度は頭できっちりとゴールネットを揺らしたが、これは無情にもオフサイドの判定。ヤマハスタジアムは一瞬ものすごい歓喜に包まれたが、劇的な勝利の夢はすぐに泡と消えた。
結局、どちらもゴールを奪えないままスコアレスドローで決着。横浜FMにとっては、前節の仙台戦に続いて、引いて守りを固めた相手を崩しきれない、決めきれないという大きな課題が残る結果となった。
一方、磐田のほうは勝ちきれなかったものの、前半は横浜FMを相手にゲームを支配し、良い形でチャンスも作ったこと。後半は、1人少なく、疲労の影響も出てきた中でも粘り強く守り抜き、カウンターからチャンスも作ったことなど、ポジティブな材料は十分に見られた。しかし、「今まではこれぐらいやれれば良しという雰囲気はあったが、それからさらにゴールを奪って勝点3を取り続けるという欲が出てきている」(柳下正明監督)と、選手たちもけっして満足はしていない。そのことが逆に、チームの成長を物語っていると感じられた。
以上