9月30日(水)AFCチャンピオンズリーグ 名古屋 vs 川崎F(19:00KICK OFF/瑞穂陸)
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1週間前の失意は、Jリーグ王者からの快勝劇で吹き飛んだことだろう。AFCチャンピオンズリーグ準々決勝第1戦で川崎Fに逆転負けを喫した名古屋だが、中2日で臨んだアウェイでのJ1リーグ戦鹿島戦で4−1の大勝を挙げた。過去16年間で一度しか勝利していない鬼門・県立カシマサッカースタジアムでの勝利は、これ以上ない弾みとなったはずだ。目前に迫ったホーム瑞穂陸での第2戦で必要なのは、1−0か2点差以上での勝利。逆転での準決勝進出に十分な可能性を残した第2戦へ向け、チーム状態は上々といえるだろう。
その鹿島戦で名古屋は大胆なローテーションを成功させ、コンディション面でも優位に立った。ACL川崎F戦からスタメン4名を入れ替えることで、まず中村直志と増川隆洋を完全休養させた。ベンチ入りした玉田圭司と小川佳純は途中出場で“慣らし運転”させ、先発出場のケネディも前半45分で交代させるなど磐石の用兵を披露。第1戦では運動量が敗因のひとつとなっただけに、ストイコビッチ監督は体力面での備えも万全としてきた。
対する川崎Fは直近のリーグ戦でG大阪に1−2で敗北。こちらも鄭大世やレナチーニョらを温存したが、名古屋とは逆の結果となった。しかし、第1戦も浦和に完敗を喫して臨んだ試合だったことはひとつポイントだ。敗戦から課題を洗い出し、すぐさま修正をピッチに反映できるチームマネジメント力は川崎Fの強みのひとつ。油断や慢心を排除できる意味でも、G大阪戦の負けは川崎Fにとってポジティブに受け止めることもできるだろう。
試合の焦点は守りを固める川崎Fを名古屋が突き崩せるか、この一点に尽きる。そこで思い出されるのがリーグ21節の名古屋ホームでの対戦だ。名古屋は新加入メンバーのデビュー戦で連係に不安があったとはいえ、専守防衛の川崎Fを崩せずにカウンターで2失点。見事に川崎Fの術中にはまり敗戦を喫した。ポゼッション率は上がるが効果は低く、逃げのパスを狙われる。名古屋はこの悪循環に陥らないようにすることが肝要となる。
そこでキーマンになってくるのが玉田だ。ビルドアップからの遅攻がメインになる攻撃に変化をつけるのは人の動きである。敵陣にフィールドプレーヤー20人がひしめくような状況で、自由に動き回りながらボールをキープし、組織に風穴を開けられるのは背番号11をおいて他にはない。玉田が動くことでできたスペースを小川やマギヌンが突くことで、中央で待つケネディへの厳しいマークも緩むはず。日本代表のオランダ遠征以降、別格のキレを見せているドリブラーには、名古屋の攻撃に『怖さ』を与えることが期待される。
忘れてはならないのが攻撃時のリスクマネジメントだ。相手はカウンターに関しては日本最強の切れ味を誇る川崎Fである。前がかりになった裏のスペースはジュニーニョや鄭大世、レナチーニョら速く決定力の高い選手が常に狙っている。1対1では五分以上の力関係に持ち込める彼らについては、「数的同数にならないよう意識して、数的優位で相手のカウンターを抑える」と第1戦で吉田麻也が語った通り、最も注意すべき部分となる。
最後に、名古屋の勝利条件を鑑みるに、この試合における先制点は非常に大きな意味を持つことになる。名古屋が先制すれば川崎Fは前に出てこざるを得ず、得意のポゼッションで名古屋がいなす有利な展開に持ち込めるだろう。逆の展開は言わずもがな、守備に徹した川崎Fを崩す作業は困難を窮めることになる。
準々決勝は前半を終えて1−2。残るは『後半90分』のみだ。名古屋はJリーグ勢によるACL3連覇の夢を継ぐことができるか。自慢の攻撃サッカーの真価は、今こそ発揮すべき時だ。
以上
2009.09.29 Reported by 今井雄一朗