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【J2:第41節 栃木 vs 岐阜】レポート:開幕戦のリベンジに成功、連敗回避、ホーム初の連勝、最下位脱出。新生・栃木は、贅沢なひとときをサポーターにプレゼントした。(09.09.24)

9月23日(水) 2009 J2リーグ戦 第41節
栃木 2 - 1 岐阜 (13:03/栃木グ/4,337人)
得点者:12' 岡田佑樹(栃木)、64' 向慎一(栃木)、79' 嶋田正吾(岐阜)
スカパー!再放送 Ch186 9/24(木)19:00〜(解説:田中真二、実況:飯島誠、リポーター:萬代裕子)
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36節から39節(荒天による延期の33節の横浜FC戦を含む)の5連戦を2勝2分1敗で駆け抜けた時に比べれば、FC岐阜に対して圧倒するサッカーができたわけではない。しかし、毎試合毎試合、内容の伴った結果を、例えばJ1昇格争いをしているトップ4が得られているかと言えば、そうではない。苦しみながら、もがきながら手にした勝ち星が、中位と下位のチームよりも多いからこそ、上位に位置しているのだ。
結果が全てではないが、敗戦後の試合に限って言えば、必ず結果が求められる。連敗しないことで周囲から「強い」と言われ、「自信」が芽生える。そのサイクルは、いいサッカーをすることと同等に重要だ。第3クールは栃木SCにとって、昇格を狙うチームのように結果が全て。だから、連敗しなかったことは、「結果から言えば成長していると言える」(松田浩監督)。辛勝だけに手放しでは喜べない。でも、勝利に注文を付けられるようになった、と考えれば大きな成長を遂げた。1ヶ月前には考えられなかった贅沢を、今、味わっている。

開幕戦を0−1で落とした相手、岐阜を迎えたリベンジマッチ。栃木は崔根植にボールを集め、セカンドボールを拾い、前へパワーを掛けるサッカーを展開した。対する岐阜は嶋田正吾と高木和正の両サイドが流動的に動き回り、左サイドに起点を設ける形を数多く作り出す。最初の決定機は5分、岐阜の左サイドから生まれた。高木と菅和範のコンビから西川優大がシュートに持ち込む。連動性が発揮されたシーンだったが、シュートは惜しくも枠外へ。
冷や汗をかいた栃木は、10分にFKから河原和寿がバックヘッドでゴールを脅かすと、12分に岡田佑樹が先制点を奪う。ドリブルで左からカットインした岡田のシュートはDFに当たるも、崔がルーズボールを右の河原へはたき、河原の力んだシュートを岡田がボレーで合わせた。
「相手が4枚のブロックを作ってきたので、前方へのパスが入りにくい状況になった」とは橋本卓。失点後の岐阜は時折、バイタルエリアに菅、高木、嶋田が侵入しては形を作りかけるも、最後は栃木のセンターバックとボランチに挟まれ、好機には至らなかった。前半ロスタイムにFKからのクイックリスタートで虚を衝いて絶好機を迎えるが、GK柴崎邦博の好守に阻止された。栃木は18分に本橋卓巳が負傷退場し、メンバーとポジションを変えなければいけないアクシデントに遭うも、上手くローテーションできたことで大きな問題にはならなかった。

難を逃れた栃木だが、後半にギアを入れ替えた岐阜の攻撃に戸惑いを見せる。だが、ハイクロスをGK柴崎が、落合正幸と宮本亨の2人のセンターバックが辛抱強く跳ね返したことで、64分の追加点を呼び込んだ。決めたのは負傷した本橋に代わってピッチに立った向慎一。河原のスペースへのパスがカウンターのスイッチとなる。ボールに追い付いたレオナルドは、右サイドからグラウンダーのボールをペナルティ内へと供給し、ニアで崔が潰れた後方に向が走り込み、田中秀人の股間を抜くシュートを冷静に流し込んだ。これまでクロスバー、ポストに嫌われ、GKとの1対1を何度も外した向だが、嬉しいプロ初ゴールを、ホームのグリスタで決めた。
リードした栃木だが、後半に総得点の6割を叩き出している岐阜の反撃を凌げなかった。4−4−2から3−5−2にシフトし、途中出場の染矢一樹を活かす戦術にはまる。79分、染矢と佐藤洸一に左サイドを破られ、嶋田にゴールを献上。失点を喫してからは平静を欠き、ロスタイムには染谷のクロスから押谷祐樹に決定機を作られたが、シュートは枠を反れて命拾い。辛くも勝点3を手にした。

連勝が2で止まった岐阜だが、一矢報いた嶋田は、「ネガティブな内容ではなかった」と振り返る。前半こそ持ち味を出せなかったが、後半は流動的に人が動き、パスワークを駆使して1点を返せた。その1点が、次節のヴァンフォーレ甲府戦に繋がる、と嶋田は前向きだ。先行されると苦戦を強いられるのは、どこのチームも同じだが、岐阜は粘り強さが引き出される後半に勝負を懸けたいだけに、先制点を前半に取られると厳しくなる。目標とする10位以上、1桁順位を目指すには、さらに我慢強い戦いが要求される。

リベンジ成功、連敗回避、ホーム初の連勝、最下位脱出。岐阜戦の勝利の意義は大きいが、「2−0になってから集中しないといけない」と宮本は、無失点で締め括れなかったことに渋い表情。これまでとは異なり、逃げ切れたからいいものの、失点後の試合の進め方には課題が残った。0に抑え込める守備力は備わっているのだから、2点のアドバンテージがあっても、気を抜いてはいけない。さもなければ、第1、第2クールで勝点を取り損ねた轍を踏むことになる。次節の相手、首位・セレッソ大阪は、当然ながら隙を見逃してくれない。集中力を欠けば香川真司と乾貴士の餌食になることは既に経験済み。一瞬たりとも気の抜けない、過酷な戦いが待ち受けている。

試合後、先制点を決めた岡田が、追加点を奪った向がゴール裏のサポーター席へと呼ばれ、歓喜の渦の中ではちきれんばかりの笑顔を浮かべた。今季からの恒例行事は、これで3回目。「サポーターあってのチームだと強く感じた」と話す向は、「サポーターとは心の距離が近い。喜びを一緒に味わえるのが栃木のいいところ。もっと味わえるようにしたい」と続けた。行事を執り行う機会は、あと5回も残されている。スタジアムを湧かせ、次にヒーローになるのは誰か。レオナルド、崔、鴨志田誉、米山篤志・・・胸が躍る。

以上

2009.09.24 Reported by 大塚秀毅
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