9月23日(水)J2 第41節 栃木 vs 岐阜(13:00KICK OFF/栃木グ)
スカパー!生中継 Ch182 12:50〜(解説:田中真二、実況:飯島誠、リポーター:萬代裕子)
勝敗予想ゲーム | 皆の投稿で作るスタジアム情報
----------
仇敵・水戸ホーリーホックの「北関東ダービー」制覇を阻む、2−0の圧勝劇を演じた前々節、J2初の連勝を飾った栃木SC。これまで取り組んできた自分達のサッカーに自信を深め、水戸戦勝利の余勢を駆って仙台に乗り込んだが、25本ものシュートを浴びて0−2とベガルタ仙台に返り討ちにされた。下剋上は3度目の対戦でも叶わなかった。
完勝後の完敗。内容と結果の両面で前節と前々節では落差が大きかっただけに、当然ながら落胆の色は濃かった。
敗因は攻守における安易なミス。攻撃面ではボールを奪うまではよかったが、その後のファーストパスがあまりにもお粗末だった。そのため、攻守の切り替え時に無駄な体力を使ってしまった。「90分、疲れる試合をした」と松田浩監督は前節を振り返る。中盤だけではなく、サイドバックも運動量を強いられ、上下動を繰り返さざるを得ない状況を自ら招いた。「自分で自分の首を絞めた」。河原和寿の言葉が最も的を射ている。カウンターを打ち込むはずが、パスミスが目立ったことで逆に何度も打ち返されては、体力が終盤まで持つはずがない。追加点を奪われてからは防戦一方となり、仙台の決定力不足に助けられて2失点で済んだが、少なく見積もっても5点は入れられていた試合だった。
「試合の入り方が悪かったかというと、入り方はよかったと思う。でも、よかっただけに隙ができたのかもしれない。『今日もいける』と思ったのか、ディシプリンに欠けるパスからカウンターを食らった」(松田浩監督)
試合序盤の仙台は浮足立ち、付け入る隙はあった。でも、付け込めなかった。崔根植のシュートがGKにセーブされるなど好機を逸したことで、逆にクサビのパスが味方に当たってカウンターを食らい、その流れでCKを与えて前半10分に先制点を許した。後半の立ち上がりの3分の失点も入江利和と宮本亨のコミュニケーション不足が、まさかの交錯という事態を生み、簡単に2点目を献上。2失点に絡んでしまった宮本は言う。「同じことが岐阜戦で出ないようにしないといけない。同じミスをすると第1、第2クールと同様にズルズルと悪い方向へ流れが行ってしまう」。ようやく自分達の手で負の連鎖を断ち切ったのだから、再びはまりこむような事態は是が非でも回避したい。いい流れを取り戻すのに何十試合も費やせない。早急に傷口を塞ぐには、1本のパスに神経を配ること、致命的なミスが起こらないようなリスク管理が必要だ。ただし、神経質になり過ぎることで積極性を失ってはいけない。
「自分達がいいサッカーをした時のことを思い出せれば、必ずいい結果が出る」
レオナルドの言うとおりだ。試合開始から集中力を保ち、しっかりした守備ブロックを構築し、相手の攻撃を無失点に抑えながら、決定機を確実にものにして先制する。ここ数試合、勝点を引き寄せてきた戦い方を思い出せれば大丈夫だ。
一方、FC岐阜は2連勝と好調だ。直近の5試合で残した成績は3勝1敗1分け、ここ4試合は負けなし。前節は水戸を3−1で退けた。3ゴールを叩き出したのは、佐藤洸一と西川優大のルーキー2トップ。2ゴールを決めた西川は2試合連続ゴール中と波に乗っており、2桁11ゴールの佐藤洸一と切磋琢磨しながらゴールを積み上げている。佐藤洸一と西川のツインタワーにいい仕事をさせているのが、ダイヤモンド型の中盤を形成する4人だ。嶋田正吾と高木和正の両サイドはスピードとテクニックに溢れ、ボランチからトップ下にポジションをひとつ上げた菅和範は豊富な運動量で広範囲をカバー、痒い所へ手が届くプレーが身上のJ2屈指のボランチ・橋本卓は攻守にメリハリを利かせる。ベテラン・秋田英義を除いた田中秀人、吉本一謙、冨成慎司が組む4バックは若いが、水戸が誇る2トップを体と頭を使い1点に封じ込めた。個々が自分の役割を全うしている岐阜を、「若い選手が多いが、まとまっている雰囲気がある」とレオナルドは話す。岐阜は最大のストロングポイントである一体感を前面に押し出せれば、連勝がさらに伸び、現在10位の順位を1桁台に乗せる準備が整うはずだ。
「積み上げてきたものは、そんなに簡単には崩れない」と松田監督。しかし、「選手の姿勢と気持ちが、積み上げてきたものが生きるか、死ぬかを決める。そこが岐阜戦では試される」。俗に「強いチーム」と言われるチームは、敗戦を引きずらず、必ず次の試合で勝つ。好不調の波が少ないのが特徴だ。連勝したことで栃木も「いいチーム」から「強いチーム」へと脱皮したのならば、開幕戦で敗れた岐阜にリベンジを果たし、勝利を奪えるはずだ。3月8日の開幕戦からどれだけ自分達が成長したのか。今節は「開幕から現在までの栃木」の真価が問われる一戦になる。
以上
2009.09.22 Reported by 大塚秀毅