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コラム

データコラム 数的有意

2023/8/3 18:00

ゴールを演出する最強コンビは?

2023明治安田生命J1リーグは、未消化だった第16節の1試合が7月22日に開催されたことで全チームが21試合を消化。長いシーズンも残り13試合となり、リーグ再開後はいよいよ中盤戦から終盤戦に差し掛かる。今回のコラムでは、ゴールに関連する「コンビネーション」に注目。両者の互いのアシストから生まれたゴール数の合計上位3組や、特徴的なコンビネーションを見せる選手たちをデータとともに紹介する。
※2023年7月22日時点のリーグ戦のデータを使用


【合計7ゴール】横浜F・マリノス ヤン マテウス ⇔ アンデルソン ロペス
ヤン マテウス → アンデルソン ロペス:6ゴール
アンデルソン ロペス → ヤン マテウス:1ゴール
リーグ最多得点を誇る横浜F・マリノスで主力として活躍する2人は、互いのアシストで決めたゴール数の合計がリーグ最多タイとなる7を記録。アンデルソン ロペスはここまで自身で15ゴールを奪い、トップスコアラーとして大活躍を見せているが、中でも得意としているのは「相棒」ヤン マテウスのクロスに頭で合わせてネットを揺らすパターン。アンデルソン ロペスのヘディングでの全7ゴールのうち、5ゴールがヤン マテウスのクロスによるものとなっている。また、ヤン マテウスからアンデルソン ロペスへのラストパスは7本であり、アンデルソン ロペスのシュートが決まらなかったのは1回のみ。85.7%という高い確率で仕留めていることも特筆すべきデータと言える。ストライカーに点で合わせる技術の高いクロスと、厳しい体勢からでもコースを突いたシュートを打てる技術力がかみ合い、チームの武器として相手の脅威になっている。

【合計7ゴール】ヴィッセル神戸 武藤 嘉紀 ⇔ 大迫 勇也
武藤 嘉紀 → 大迫 勇也:5ゴール
大迫 勇也 → 武藤 嘉紀:2ゴール
悲願のリーグ初優勝へ向け、し烈な上位争いを繰り広げているヴィッセル神戸。躍進の原動力のひとつが武藤 嘉紀と大迫 勇也のコンビだ。中央で体を張って起点を作る大迫 勇也に加え、豊富な運動量を生かしてサイドでタメを作り、ドリブルを仕掛けられる武藤 嘉紀も絡むことで相手守備陣の対応は困難を極める。また、ゴールが多いだけでなく、両者の互いのラストパスから生まれたシュート数の合計22本はリーグで圧倒的に多い本数となっている。第2節 北海道コンサドーレ札幌戦で生まれた大迫 勇也のゴールや、第13節 サンフレッチェ広島戦で生まれた武藤 嘉紀のゴールなどは、まさに2人の特徴がはまって生まれた得点だ。5月には大迫 勇也が、6月には武藤 嘉紀が明治安田生命Jリーグ KONAMI月間MVPの受賞を遂げている。

【合計5ゴール】名古屋グランパス 永井 謙佑 ⇔ キャスパー ユンカー
永井 謙佑 → キャスパー ユンカー:3ゴール
キャスパー ユンカー → 永井 謙佑:2ゴール
序盤から上位争いを続けている名古屋グランパスの今季の武器は「堅守速攻」。その肝とも言えるカウンター攻撃を支えているのが、互いに快足を特徴とする永井 謙佑とキャスパー ユンカーのコンビだ。第4節 柏レイソル戦での永井 謙佑の得点や、第8節 川崎フロンターレ戦と第15節 北海道コンサドーレ札幌戦でのキャスパー ユンカーの得点などは、速攻を仕掛ける際の目的地として、お互いを信頼していることで生まれた象徴的なゴールシーンだ。彼らにプラスして、新加入選手らが絡む得点パターンを増やせるかどうかも優勝に向けたポイントとなるだろう。

FC東京 ディエゴ オリヴェイラ 様々なコンビネーションから生まれるゴール
コンビでの合計ゴール数の上位3組は得点ランキングの上位選手がそのままランクインする形となった一方で、11得点を記録してキャスパー ユンカーと並ぶ得点ランキング3位タイに位置するFC東京のディエゴ オリヴェイラは、様々なコンビネーションから多くの得点をあげている。ディエゴ オリヴェイラのゴールをアシストした選手の内訳を見ると、渡邊 凌磨と安部 柊斗の2アシストが最多で、アシスト選手数は7人と多い(アンデルソン ロペス、大迫 勇也、キャスパー ユンカーのアシスト選手数は5人)。ディエゴ オリヴェイラは特定の選手に頼らずに結果を残していることが見て取れる。

川崎フロンターレ 家長 昭博 ⇔ 宮代 大聖 シュートまでの形を確立
互いのラストパスから生まれたシュート数の合計を見ると、1位は武藤 嘉紀⇔大迫 勇也の22本、2位は永井 謙佑⇔キャスパー ユンカーの15本とコンビでのゴール数が多い順に並んでいるが、この2組に続く14本と高い数値を残しているのが川崎フロンターレの家長 昭博⇔宮代 大聖のコンビだ。家長 昭博と宮代 大聖のコンビはここまで2ゴールにとどまっているが、シュートまでの形は確立されているため、このコンビの決定力がさらに上昇すれば、逆転での優勝を目指すチームの大きな力になるだろう。

鹿島アントラーズ 樋口 雄太 セットプレーのコンビネーションでアシストを量産
鹿島アントラーズの樋口 雄太は現在9アシストを記録し、ヴィッセル神戸の武藤 嘉紀と並んでリーグトップタイとなっている。そのうちセットプレーによるアシストはリーグトップとなる6(CK:4、FK:2)。これは、データが比較可能な2005年以降のJ1で、セットプレーから最多アシスト数を記録した2018年の柏木 陽介(当時、浦和レッズに所属)の10アシストに近いペースとなる。樋口 雄太はセットプレーによるラストパスも21本でリーグ1位であり、パスの受け手としては植田 直通が7回(うち1得点)でリーグ1位、鈴木 優磨が5回(うち2得点)でリーグ2位タイとリーグでも屈指のコンビとなっている。正確な右足のキックを活かし、セットプレーからのアシスト記録を更新することができるか注目だ。今季の鹿島アントラーズはセットプレーからの得点がリーグ2位タイ(10得点、1位は京都で11得点)であり、チームの武器としてセットプレーのコンビネーションは今後もキーになるだろう。

今回は結果を残している「名コンビ」を中心に、コンビネーションに焦点を当ててスタッツを紹介した。ここからの残りのシーズンは当然相手からのマークも厳しくなるが、同様に結果を残していけるだろうか。ゴールのみならず、コンビネーションにも注目してみたい。

文章/データ提供:データスタジアム株式会社

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