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コラム

データコラム 数的有意

2021/9/29 18:00

コーナーキックはチャンス?2021年J1リーグのコーナーキックデータを振り返る

サッカーの見どころであるゴールは、流れの中からのものとセットプレーからのものに分けることができる。セットプレーは攻撃側と守備側が完全に分かれ、攻撃側が意図を持ってゴールを奪うための状況を作り出すことができる特殊なプレーだ。

その中でもコーナーキック(以下、CK)は1チーム1試合あたり平均4~5回行われ、今シーズンのJ1リーグでは全666点の内、14.6%にあたる97点がCKから5プレー以内に決まっている(*1)。1点の価値が重いサッカーにおいてCKは重要なプレーであり、海外ではセットプレー専任コーチがいるほどである。今回はCKに焦点を当てて2021年J1リーグのデータを紹介したい。

クロスボールのCKは3回に1回はシュートにつながる

CKには、ショートコーナーやトリックプレー、逆サイドへの大きな展開など様々な戦術があるが、よく目にするのはゴール前にボールを放り込むクロスボール(以下、クロスボールのCK)だろう。

実際にクロスボールのCKは今シーズン2,236回あり、これは全てのCKの87.6%にのぼる。そのクロスを直接シュートする割合は13.8%、そのシュートでゴールが決まる割合は全体の1.7%であった。5プレー以内まで広げるとシュートする割合は35.8%、ゴールが決まる割合は全体の4.4%であった。

流れの中からのクロス*2と比較してみよう。流れの中からのクロスから直接シュートする割合は15.3%。そのシュートでゴールが決まる割合は2.8%。5プレー以内まで広げると、シュートする割合は33.1%、ゴールが決まる割合は全体の4.7%であった。流れの中からのクロスはクロスボールのCKと比べて、攻撃側のセンターバックがエリア内にいなかったり、エリア内の人数関係が異なるなど一概に比較することはできないが、どちらも3回に1回はシュートチャンスに繋がっていることがわかる。

CKからの得点が多いのは鹿島のCBコンビ

次にクロスボールのCKを直接シュートし得点した選手のランキングを紹介したい。上図で示した通り1位は4得点で町田 浩樹(鹿島アントラーズ)。2位には2点で犬飼 智也(鹿島アントラーズ)、ヴァウド(清水エスパルス)、ドウグラス(ヴィッセル神戸)が並んだ。鹿島アントラーズのCBコンビが上位にランクインしており、総得点リーグ3位の攻撃力をセットプレー面から牽引しているといえるだろう。

彼らのゴールをアシストしたキッカーは荒木 遼太郎(3アシスト)、遠藤 康(2アシスト)、永戸 勝也(1アシスト)の3名。特に遠藤はクロスボールのCKは11回のみであるが2回のアシストを記録した。また得点こそあげていないが、鹿島アントラーズのFWエヴェラウドはクロスボールのCKを直接シュートした数がリーグ1位の10回であった。このことからも鹿島アントラーズのCKでの強さがうかがえる。

J STATSから注目したいチームは横浜FM、仙台

最後にクロスボールのCK総数に対してシュート率が高いチームをピックアップしたいと思う。なおシュートは、クロスボールのCKに対して直接シュートを打ったもののみをカウントしている。

まずは横浜F・マリノス。クロスボールのCKに対してシュートを打った割合は20.2%でリーグ1位であった。注目したい選手はキッカーを担うマルコス ジュニオール。彼が放つキックに対して味方がシュートを打った割合は25.6%。1試合平均4~5回あるCKで1試合に1回はシュートをお膳立てしている計算になる。

次に割合が多いチームはベガルタ仙台。クロスボールのCKに対してシュートを打った割合は19.4%と5回に1回はシュートすることができている計算だ。キッカーを担うのは上原 力也。彼のCKに対して味方がシュートを打った割合は21.6%。とても高い数字を残しており、ベガルタ仙台のセットプレー戦術に欠かせない存在である。

今回は2021年J1リーグのコーナーキックに着目してデータを紹介した。優勝争い、残留争いが絡み、1点の重みが増してくる終盤戦に向けて、CKに注目してみてはいかがだろうか。

(注釈) 
*1 2021年9月11日までに開催されたJ1リーグが対象
*2 PA内、PA脇からのクロスで、ブロックされた、ボールアウトとしたクロスを除く。攻撃開始は、CK、FK、PKを除いたものをカウント。

文章/データ提供:データスタジアム株式会社 

 

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