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コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2017/1/26 16:20

「プレーオフ」「U-21枠」ルヴァンカップ2年目の改革(#52)

JリーグYBCルヴァンカップ改革。プレーオフ、U-21枠など何が変わったのか?

1月25日、今季のJリーグ主催試合に関する日程や大会概要などの発表が行われた(詳細はこちら)。中でも個人的な注目は、JリーグYBCルヴァンカップだ。ヤマザキナビスコカップから名を改めて2年目となる今季、その大会レギュレーションに少なからぬ変更が加えられている。

「プレーオフステージ」が新たに創設されることとなったルヴァンカップ。さらなる激戦が期待される。
「プレーオフステージ」が新たに創設されることとなったルヴァンカップ。さらなる激戦が期待される。

大会の基本的な流れは「グループステージ(総当たりのリーグ戦)+ノックアウトステージ(いわゆる決勝トーナメント)」という形で、昨季までと同じだ。ただ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場するチームはノックアウトステージにシードされ、グループステージには参戦しないという点もこれまでと同じ。14チームを二つのグループに分けて総当たり戦を行うので基本的には1チーム6試合をこなすことになる。ただ、ACL予備予選に出場するG大阪がそこで敗退となった場合は、このグループステージ(A組)にエントリーしてくることになる。その場合も7チームの奇数リーグが8チームの偶数リーグになるので、日程的な問題は発生しないという仕組みだ。

ただ、問題は従来ACLの4チームがシードされている「ベスト8」の山組が3チームになってしまっていた場合、このグループステージから5チームを選ばなければいけないというややこしい問題が発生する。また、7チームの総当たり戦で、2チームが勝ち抜けるというレギュレーションは興行面では難しさもあった。うまく混戦になってくれればいいのだが、そうでないとステージが終わりに近づくにつれて、いわゆる“消化試合”が発生しやすくなるのだ。こうした点を踏まえつつ、今季からはグループステージとノックアウトステージの間に、「プレーオフステージ」が新たに創設されることとなった。

行われるのはホーム&アウェイ方式で2試合トータルのスコアを競う戦い。グループステージの両組1位はそのまま勝ち抜けとなる一方、ACL出場チームが4チームの場合、「A組2位×B組3位」「B組2位×A組3位」の勝者2チームが勝ち残りとなる。一方、ACLからシードされるのが3チームになっていたケースでは、「A組2位×B組4位」「A組3位×B組3位」「B組2位×A組4位」という3つのカードが実施され、それぞれの勝者となった3チームが各組1位の2チームと合わせた計5チームがノックアウトステージへ進出となる。

昨年大会を経て大きく飛躍したG大阪の井手口。「若手枠」の規定によってチャンスをつかむ選手は出てくるだろうか。
昨年大会を経て大きく飛躍したG大阪の井手口。「若手枠」の規定によってチャンスをつかむ選手は出てくるだろうか。

このプレーオフステージ創設と合わせたもう一つ大きな改革が、「若手枠」と言うべき、21歳以下の若手選手に関する先発起用義務が大会レギュレーションに明記された点だ。これは2020年の東京五輪も見据えつつ、若手選手の出場機会増加を狙っての施策。実力で出て来てほしいところではあるが、いわば下駄を履かせてでも若手を実戦に出させて鍛えようという狙いとなる。

もちろん、対象の若手選手が各年代の代表チームに招集されていて出場できないようなケースではこの規定は適用されず、対象選手が試合エントリー後に負傷したケースでも免除となる。また決勝戦に関しても、選手起用の縛りは撤廃となる。こうした規定がある場合のデメリットとしては、クラブが「期限付き移籍で修行に出すつもりだったけれど、ルヴァンカップで使うかもしれないから残しておこう」などと若手選手を縛ってしまうことで、これだと「若手を鍛える」という趣旨から外れた本末転倒の結果になりかねない。

この施策、実際やってみないと分からない部分もあるが、キャンプで若手選手に話を聞いていても「ルヴァンカップに枠ができたので、まずそこでチャンスをつかみたい」という声もあった。いきなりレギュラーを奪う絵が見えない若手でもステップをイメージしやすくなる効用は早速あるようで、こういったポジティブな方向に作用することを期待したい。新規定によってルヴァンカップでチャンスを得た若手が、それを機にリーグ戦でも大きく飛躍していく。そんな流れが多く見えるシーズンになっていくようなら、改革の甲斐もあったということになるだろう。

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