明治安田生命J1リーグ1stステージは最終節を残すのみとなった。ステージ優勝の可能性があるチームは、現在1位の鹿島アントラーズと2位の川崎フロンターレ。今回のコラムでは1stステージ第16節までのデータを使い、この2チームの特徴を導き出してみた。
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<鹿島アントラーズ>
昨シーズン、石井 正忠監督への交代後の14試合で獲得した勝点33は18チーム中で最も多かった。この14試合では27得点12失点。今シーズンも近い数字を残している。
昨シーズン1位だったシュート数は今シーズンも1位であり、積極的にシュートを打ってゴールを狙う姿勢は変わらない。注目のデータは「被シュート枠内率」。これは相手にシュートを打たれた時に枠内にどれだけ打たれたかの割合を表した数字であり、今シーズンの鹿島はこの割合が唯一の20%台で最も低く、昨シーズンと比較しても大幅に改善している(昨シーズン トニーニョ セレーゾ監督期:38.5% 石井監督期:35.2%)。これを実現するためにはDF陣が身体を張ってブロックするのはもちろんのこと、連動したプレスで相手を追い込み、フリーな状態でシュートを打たれるようなシーンを少なくすることも必要となる。敵陣でのタックル数の多さと被パス成功率(相手のパス成功率)の低さは、それを表しているデータといえる。
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<川崎フロンターレ>
パス数やパス成功率、ボール支配率の高さからボールを保持しながら試合を進めていることが分かる。パスを繋いでボールを動かしている分、選手の走行距離とスプリント回数が少ないことも特徴といえる。これらのデータから、パスを繋ぎながらゆっくりと攻めているように見えるが、それだけではない。ゴールシーンに注目すると、ボールを奪ってからゴールまでの平均経由時間9.9秒はリーグ最短で、昨シーズンが25.9秒であったことを考えるとかなりスピードアップしていることが読み取れる。
攻撃面に目が行きがちな川崎Fだが、昨シーズンとの比較では得点の増加(1試合平均+0.11点)より失点の減少(同-0.47点)の方が差が大きい。攻撃力を維持しつつ、守備から攻撃への切り替えの意識、鹿島の部分でも述べた被シュート枠内率の改善もあったからこそ優勝を狙えるポジションにいるといえる。