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コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2015/10/28 17:15

「若手の登竜門」のファイナルマッチ 埼玉で輝くニュースターに期待(♯26)

10月25日、今年のヤマザキナビスコカップにおける『ニューヒーロー』が決定した。1996年度大会から設けられた『ニューヒーロー賞』の21番目の受賞者になったのは、鹿島アントラーズのFW赤﨑 秀平。大卒2年目のストライカーは、決勝トーナメントでの顕著な活躍を評価されての個人タイトル獲得となった。

歴史ある『ニューヒーロー賞』の21番目の受賞者になった鹿島の赤﨑
歴史ある『ニューヒーロー賞』の21番目の受賞者になった鹿島の赤﨑

ニューヒーロー賞の対象となるのは「大会開幕時〔2015年3月18日(水)時点〕に23歳以下の選手」という形なので、高卒6年目か大卒2年目(3月19日以降生まれならば、高卒7年目と大卒3年目)までの非常に幅広い層を対象としている。今回賞をもらってヤマザキナビスコ社製品1年分などをゲットした赤﨑も、筑波大学から鹿島入りして2年目の24歳。一般的には「若手」よりも「中堅」と見なされる年齢で、ファンの中には「赤﨑って対象だったのか!?」と驚いた方もいたようだ。昨年の大会で宇佐美が受賞したことも象徴的だったが、実質的には中堅選手までを含めた幅広い層をターゲットにした賞として機能しているとも言える(個人的には、対象年齢を引き下げることを検討してもいいのではとも思っているが)。

多くのタレントを輩出する九州勢だが、意外にも97年の三浦以来の受賞に
多くのタレントを輩出する九州勢だが、意外にも97年の三浦以来の受賞に

赤﨑は鹿児島県の出身。FW大久保 嘉人(川崎フロンターレ)、大迫 勇也(1.FCケルン)、MF遠藤 保仁(ガンバ大阪)、DF吉田 麻也(サウサンプトン)、GK西川 周作(浦和レッズ)など各年代においてバラエティ豊かなスター選手を輩出してきた九州の地だが、意外にもこの賞とは縁が薄く(上記の選手たちも受賞を逃している)、赤﨑は実に1997年度大会の三浦淳寛氏(大分県出身)以来となる2人目の「ニューヒーロー九州男児」となっている。

佐賀東高校から高卒ルーキーとしてJリーグ入りする選択肢もあったが、あえて大学行きを選んだ過去を持つ。昨年の新人研修の際、高卒でのJ入りを回避した理由をあらためて聞いたところ、「自信と覚悟の不足」という答えが返ってきたことを思い出す。ちなみに、「じゃあ、今はどうなの?」というこちらの問いに赤﨑が何と答えたかはあえて説明するまでもないだろう。

赤﨑だけでなく、決勝ではその他の若手のパフォーマンスにも注目だ
赤﨑だけでなく、決勝ではその他の若手のパフォーマンスにも注目だ

今季は激しくポジションを争いながらリーグ戦で7得点、ナビスコカップで2得点を記録。徐々に鹿島での地位を固め始めた段階にある。プレーからも「自信」が感じられるようになっており、あとは決勝の大舞台でサポーターに対して鹿島で生き抜く「覚悟」を感じさせるのみではないだろうか。

もちろん、ニューヒーロー以外の若手が決勝の大舞台で勇躍してもらっても一向に構わない。鹿島ならユース上がりのルーキーで、野性味たっぷりのFW鈴木 優磨の名前が挙がるだろうし、G大阪にも鈴木と同い歳で技巧と肉体的資質の双方を兼ね備えるMF井手口 陽介がいる。「若手の登竜門」と称される大会のファイナルマッチ。その名にふさわしいプレーを見せる選手は、果たして出てくるだろうか。

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