汗が吹き出してくる真夏の感覚を半ば強制的に思い出すこととなった。この原稿は東南アジアのラオス人民民主共和国にて執筆している。日本ではあまり馴染みのない国だと思うのだが、タイとベトナムの間にある国と言えば分かりやすいだろうか。1年の中でも過ごしやすい時期なのだと、かつてラオス代表監督も務めた木村浩吉氏は教えてくれた。だがそれでも、暑いのは暑い。16時を回ってなお、気温は30℃の針を下回ってくれない。
このラオス首都ビエンチャンにて開催されていたのは、AFC U-19選手権予選。FIFAU-20ワールドカップのアジア1次予選と言えば分かりやすいだろうか。大会に臨んだU-18日本代表は、2年後のU-20ワールドカップ時に「U-20」、5年後の東京五輪において「U-23」となる世代である。日本サッカーの未来を担ってもらわねば困る、そういう選手たちだ。
結果としてはオーストラリアと同居した厳しいグループながら3戦全勝。見事に1位で通過を果たした。予選終了後、一息ついた選手たちはすでに意識をそれぞれの所属チームの戦いに向けていた。23名中7名が該当する高校のサッカー部に属する選手たちは高校サッカー選手権の都道府県予選に。そして、23名の内10名を占めるJリーグのアカデミーチーム(いわゆるユースチーム)に所属する選手たちが意識を向けたのが、10月10日に開幕する2015Jユースカップ第23回Jリーグユース選手権大会である。
高校サッカー部に所属する選手たちにとっての冬のタイトルが高校サッカー選手権ならば、Jリーグのアカデミーチームなどに所属する選手たちにとっての冬のタイトルがこのJユースカップである。Jリーグ誕生の翌年に産声をあげたこの大会は、今年で23回目を迎えた。U-18代表の選手たちは、予選突破を果たしたのも束の間、「また(選手選考は)ゼロからのスタートになると思って、チームで結果を残さないといけない」(MF高木彰人=G大阪ユース)という気持ちで臨む大会だ。代表選手は注目度も高くなるが、「代表選手として、ぬるい気持ちでは絶対にプレーできない」(高木)という場である。
現在のA代表を担う西川周作、吉田麻也、原口元気、宇佐美貴史、武藤嘉紀といった選手たちもこの大会から巣立っていった。1、2回戦は全国各地で開催される上に、準決勝(味の素スタジアム西競技場)と決勝(ヤンマースタジアム長居)の3試合についてはスカパー!での生中継もある。ぜひ会場に足を運んだり、あるいはテレビを通じて彼らのプレーを観ていただきたい。プロとして羽ばたく前段階にある選手たちが「お客さん」の目にさらされながらプレーをする経験を積むことは、きっと日本サッカーとJリーグの未来へつながっていくはずだ。
一方、大会に出場する選手たちには是非「観られている」ことを意識してもらいつつ、「魅せてやる」という気持ちも持ちながらプレーしてもらいたい。特に酷暑のラオスで国際舞台の真剣勝負を熱く激しく賢く戦い抜いた選手たちには、彼の地で見せてくれた「代表選手らしい」プレーを継続して見せてほしい。11月15日の決勝に至るまで、足を運んでくれたファンの胸を熱くさせる、そんな好勝負が数多く観られることを期待している。