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コラム

青山 知雄の悠々J適

2015/9/24 21:08

Jリーグチャンピオンシップへの道 一戦必勝の緊張感とプレッシャーの中で(♯24)

負けたら終わりという緊張感。勝たなければならないというプレッシャー。そして頂点を目指す強烈な意欲。そのすべてが重なりあった時に何かが起きる――。Jリーグ23年間の歴史で、そんなシーンを何度も見てきた。

先日、ガンバ大阪がAFCチャンピオンズリーグ準々決勝で全北現代(韓国)を相手に収めた劇的な勝利は、今後サッカーファンの間で語り草となっていくことだろう。2-2の同点で迎えた後半アディショナルタイム。このまま終わればアウェイゴール数の差で敗退が決まるという崖っぷちから、チームに準決勝行きの切符をもたらした米倉 恒貴の一発は、まさに“逆転サヨナラホームラン”。歓喜のあまりピッチ内へ入ってしまった長谷川 健太監督が退席処分を受けたのはご愛嬌だが、それだけの気持ちを爆発させたところからも、この試合に懸けていたG大阪の想いが伝わってくる。

全北現代戦の米倉のゴールは、まさに一戦必勝のゲームで見せた執念の一撃だった
全北現代戦の米倉のゴールは、まさに一戦必勝のゲームで見せた執念の一撃だった

一戦必勝のゲームで見せた執念の一撃。米倉の劇的弾を見て、あるゴールを思い出した。

2001年12月8日、県立カシマサッカースタジアム。鹿島アントラーズとジュビロ磐田によるサントリーチャンピオンシップ第2戦のことだ。第1戦を大熱戦の末に2-2で引き分け、当時はまだアウェイゴールを優先するルールが設定されていなかったことから、両チームは第2戦の結果で雌雄を決することになった。

試合はスコアレスのまま90分では決着がつかず延長戦へ突入。そして迎えた延長前半10分、鹿島のMF小笠原 満男の右足からJリーグ史上に残るゴールが生まれる。

ペナルティエリア外、正面やや左から放たれた直接FKは、鋭く壁の上を越えてゴールネットに突き刺さる決勝Vゴール。これがリーグ戦計34試合を26勝1分3敗という圧倒的な成績で年間勝点トップの磐田を撃破し、鹿島にリーグ連覇をもたらす劇的な一発となった。

キックの弾道を見守っていた小笠原は、ゴールネットが揺れるのを確認すると両腕を突き上げながらしゃがみこみ、そこにチームメートが駆け寄って歓喜の輪が広がった。一方の磐田はリーグ戦の結果を王座につなげられず、選手たちは大の字でピッチに倒れこんだまま起き上がれない。劇的で、残酷な一発。強い想いが込められているからこそ、歓喜も反動も大きくなるものだ。

ちなみに磐田はこの悔しさを胸に秘め、翌2002シーズンに34試合72得点という圧倒的な攻撃力で1stステージ、2ndステージを制して完全優勝を成し遂げたことを付け加えておきたい。

磐田を撃破した小笠原の直接FKはJリーグ史上に残るゴールとなった
磐田を撃破した小笠原の直接FKはJリーグ史上に残るゴールとなった

12月に行われるJリーグチャンピオンシップに、明治安田生命保険相互会社の特別協賛が決まった。J1からJ3まで各リーグの冠スポンサーとしてもおなじみの同社が、チャンピオンシップもサポートしてくれることになったわけだ。また、試合はスカパー!で全試合、1回戦がBS-TBS(※1回戦が2試合の場合はいずれか1試合のみ)、準決勝はNHK総合とBS-TBS、決勝第1戦はTBS、第2戦がNHK総合で生放送されることも決まっている。

個人的には同時に発表されたチャンピオンシップのタイトルマークが非常に興味深かった。おなじみの優勝シャーレを屋根に見立てたスタジアムには、5つのゲートが開いている。これはチャンピオンシップに出場できる最大クラブ数を意味しており、中央の大きなゲートが決勝にシードされる年間勝点1位クラブの入り口になるのだろう。また、ロゴ上部には「PER ANGUSTA AD AUGUSTA」というラテン語の格言が記されている。これは「狭きを通り高みへ/苦難を経て栄光へ」という意味で、チャンピオンシップがシーズンを通じての長い戦いを経ての道のりであることが表現されているという。

ちなみにスタジアム両側に配された月桂樹にも意味がある。左側が1stステージ、右側が2ndステージの優勝トロフィーのデザインになっているのだ。浦和レッズが1stステージを制した際に月桂樹のトロフィーを授与された記憶のある方がいるかもしれないが、それが左側のデザイン。2ndステージ優勝クラブには左右対称になった右側の月桂樹トロフィーが手渡されることになる。

狭き門を通り抜け、栄光のシャーレを手にするのは果たしてどのチームか
狭き門を通り抜け、栄光のシャーレを手にするのは果たしてどのチームか

大会ロゴにあるとおり、1回戦、準決勝、決勝が組まれているチャンピオンシップには最大で5クラブ出場できるが、現時点で出場を決めているのは1stステージを制した浦和のみ。残りの出場クラブはこれから決まる。その出場条件がやや複雑になっていることもあり、『J.LEAGUE.jp』では2ndステージ開幕から年間順位表とともに、リーグ戦各節終了時にチャンピオンシップの暫定トーナメント表を更新している。出場条件には2ndステージの順位と年間順位の双方が絡むため、その時点でのトーナメントが一目で分かるありがたいシステムだ。2ndステージ開幕当初こそ「本格的に注目していくのは、もう少し先だな」と思っていたが、J1は早くも残り6試合。トーナメント表は節ごとに大きく変わることもあり、いよいよ目が離せない時期に入ってきた。

一戦必勝が求められる明治安田生命Jリーグチャンピオンシップはもちろん激戦必至だが、そこに至るまでにも緊張感ある戦いが繰り広げられることになる。終盤戦は残留争いも絡んで、さらに激しい試合が続くことだろう。J1最終節は11月22日。リーグ戦のクライマックスに向け、「こうなったらこうなる」とスケジュールを見ながら勝手に試合結果をシミュレーションしながら見ていく面白さもある。2ndステージの順位と年間順位を見比べてトーナメント表に入ってくるクラブを想定しつつ、あれやこれやと“とらたぬ”を楽しむのも一興だろう。

それぞれのシーズン終盤戦。酷暑の夏は一気に過ぎ去ったが、Jリーグの熱い戦いはこれからが佳境を迎える。

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