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コラム

川端 暁彦の千態万状Jリーグ

2015/3/11 17:23

開幕の「ワクワク」と「醍醐味」と「愛されるプロフェッショナル」と(♯2)

明治安田生命J1リーグが3月7日に、明治安田生命J2リーグが8日にそれぞれ開幕の日を迎えた。開幕に向かう独特の昂揚感、FC東京のFW武藤嘉紀の言葉を借りると、「ワクワク」は、やはり格別なものがある。

日産スタジアムで開幕戦独特の“ワクワク”を堪能
日産スタジアムで開幕戦独特の“ワクワク”を堪能

「エル・ゴラッソ編集長」の肩書きが付いていたときは、迫ってくる開幕というのは時に恐ろしいものであった。何かトラブルの芽を見落としているんじゃないかという不安もあるし、実際問題として未解決の課題が残っていることもあったので、「ワクワク」よりも、「バクバク」とか「ドッキンドッキン」といった擬態語が似合う状態である。

そして、いざ開幕となれば、「てんやわんや」。もちろん、そうした繁忙さも楽しかったし、僕は逆に試合を楽しみすぎて編集部のひんしゅくを買う編集長だったとは思うのだが、それでもなお、本来あるべき「Jリーグを楽しむ」という部分が自分の中で薄くなっていたかもしれない。それはフリーになって迎える二度目の開幕戦が、自分が想定した以上に「純粋に楽しかった」からこそ、強く意識させられた。

直接足を運んだのは日産スタジアムでの神奈川ダービーだったが、各地のスタメン発表で「おー、茂木駿佑(仙台のルーキー選手)が先発じゃん!」などと驚き、「おいおい、名古屋と松本、とんでもないスコアになってるぞ!」なんて記者仲間と速報を確認して笑い合う。目の前の試合もエキサイティングだったけれど、それ以上に開幕戦という時間を共有する面白さ、ついにシーズンが始まったという「ワクワク」が最高に心地よかった。

“とんでもない”スコアになった名古屋vs松本
“とんでもない”スコアになった名古屋vs松本

もちろん、負けたチームのサポーターが心地よくなかったのは想像に難くない。だが、サッカーのリーグ戦を追い掛けていく楽しみというのは、きっとその先にあるものだ。リーグ戦は「負けたら終わり」の世界ではないし、負けて悔しい思いを共有したことが、次なる勝利における喜びをより大きなものにする「伏線」にもなるからだ。

悔しさを共有し、喜びを共有していくためにも、選手たちに求められるのが戦う姿勢であり、勝利へのどん欲さを表に出すことだったりするわけだ。技術的クオリティはもちろん大切なのだが、「一緒に1年を共有したい」と多くの人に思わせる選手こそが本当のプロフェッショナルだと思うし、Jリーガーにまず求められていることでもある。

ビッグマッチで2点を叩き出した武藤
ビッグマッチで2点を叩き出した武藤

またクオリティという意味で言えば、プレーする姿を観て「進歩している!」と感じられる選手も応援していて気持ちがいいものだ。開幕戦で昨季の三冠チームであるガンバ大阪相手に2点を叩き込んだ武藤などはその典型例だろう。継続的にリーグ戦を観ていくと、悩み苦しんだ選手がついにブレイクスルーを果たす。そんな瞬間を目撃することもできる。それもまた、Jリーグファンの醍醐味である。

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