コラム
2015/12/2(水)23:55
残り10分間の悪夢 G大阪がホームで逆転負けを喫する【G大阪側レポート:決勝 第1戦】
ホームの万博記念競技場で迎えた明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ決勝第1戦 サンフレッチェ広島戦。平日のナイトゲームにも関わらず、スタンドにはたくさんの観客が集まり、ピッチに熱い視線を注いだ。ガンバ大阪は準決勝・浦和レッズ戦をフル出場したパトリックがベンチスタート。代わって明治安田生命J1リーグ 最終節のモンテディオ山形戦の後半からピッチに立ち、輝きをみせたFW長沢 駿が移籍後、初先発を飾る。
81分までは、キックオフから攻守にバランスのとれた、集中力の感じられる立ち上がりに。前線からのプレスはもちろん、球際、人へ対するアプローチも激しく、攻守の切り替えも早い。当然ながら相手の意識も高く、そこまで数多くのチャンスは作り出せなかったものの、激しいアプローチからボールを奪って攻撃に転じる様は迫力満点。得点にこそならなかったものの、守備では全体が連動して広島の良さを完全に消し去り、攻めては『ゴール』の予感を漂わせながらと、攻守にほぼパーフェクトな出来で前半を折り返す。それは後半に入ってからも同じで、ボランチの2枚と、両ワイドがしっかりと相手の攻撃の起点を消し去り、そこからの早い切り替えで攻撃に転じるなどしながら広島を圧倒。その中で60分には、前線からの精力的な守備が功を奏する形で、相手DFの受け渡しのミスを狙ったFW長沢が左足でゴールを捉え、先制に成功する。
ホームでリードを奪った展開にも攻撃の手を緩めない。62分にはMF大森 晃太郎に代えてMF倉田 秋を投入。追加点を奪いにいった中で、80分に広島に同点弾を許すも、G大阪の集中力が途切れることはない。試合前に「例え相手にゴールを許しても、それ以上に獲ることを考えればいい」と話していたのはMF遠藤だが、その言葉通り前への意識を強くして試合を進める中で、そのMF遠藤のFKからMF今野が右足でおさめてすぐさま逆転に成功する。
だが、ここから悪夢の時間帯に。それまで攻守にハードワークをみせていたDFオ・ジェソクが一発レッドで退場になり、数的不利を強いられると、全体がやや落ち着きをなくし、防戦一方の展開に。しかも、前線にパトリック1人を残して全員が守勢にまわる中、5分と表示されたアディショナルタイムに突入してすぐに失点を許すと、終了間際の時間帯。G大阪のスローインが相手選手に渡った展開から、ゴール前まで繋がれ逆転ゴールを許してしまう。そして、タイムアップーー。
81分までの展開を思えばこそ、「まさか」と言わざるを得ない流れで2−3と逆転負けを喫したG大阪だが、戦いはまだ半分。アウェイゴールを3つ奪われたと考えても、状況は厳しいが、残り90分「何が起きるのかが分からないのがサッカー」だということ、そしてそのミラクルを起こす力がG大阪にはあるということをピッチで示してほしい。
[文:高村 美砂]