レポート
2015/12/1(火)11:28
ホームでの第一戦。目指すは『勝利』のみ【G大阪側プレビュー:決勝 第1戦】
明治安田生命J1リーグ 最終節のモンテディオ山形戦を4-0で勝利し、年間順位3位の座に滑り込んだガンバ大阪。その勢いのままに戦った明治安田生命2015Jリーグチャンピオンシップ準決勝・浦和レッズ戦はアウェイの地で先制する展開に持ち込んだものの、真っ赤に染まったスタジアムを味方につけた浦和に追いつかれ延長戦へ。その延長戦も終盤に近づいた118分。DF丹羽 大輝のクリアボールがGK東口 順昭の手をかすめてポストを叩きヒヤリとしたが、そこからGK東口の素早いフィードでDFオ・ジェソク、MF遠藤 保仁、FWパトリック、DF米倉 恒貴とつなぎ、この日が誕生日だったDF藤春 廣輝がバースデーゴールでとどめを刺して再びリードを奪う。その集中力は最後まで途切れず、試合終了間際にはMF遠藤の直接FKをパトリックが右足でおさめて1-3と突き放し、決勝への切符をつかみ取った。
この試合で幾度となくスーパーセーブをみせ、チームの危機を救ったGK東口は試合後「DFラインとしっかりコミュニケーションをとって連携をとって戦えた。僕だけの成果ではなくて、DFラインもしっかりと身体を寄せてくれていたし、チームとして守れていたからこその結果」とコメント。改めて『組織』としての力であることを強調し、この厳しい終盤、より団結力を強めているチームに対しての手応えを語った。
この激闘から中3日、ガンバ大阪は、今季のJ1リーグで年間1位の広島とのチャンピオンシップ決勝第1戦に臨む。今回もキーになるのは、その東口が手応えを語る『組織力』だろう。ここまでJ1クラブでは最多の試合数を戦ってきたガンバ大阪だけに、また、広島が最終戦から中9日で第1戦を迎えるのに対してG大阪は中3日、しかも直近の試合では120分の激闘を繰り広げた上での試合となるため、疲労は否めないが「疲れをどうこう言っている場合じゃない。もちろんいい回復をしなければいけないですが、楽しみな試合なので、そういった疲れは特に関係ないと思う」とMF遠藤。他の選手も同様にこの一戦に向けて、疲労をも上回る『楽しみ』な思いを口にする。
DF西野は「ここまできたら絶対に勝ちたい。浦和戦も厳しい試合になったけど試合が終わった後には『楽しかった』という気持ちしか残らなかった。それは勝ったからこそ。第1戦も勝つことで第2戦に繋げたい」と意気込んだ。
ただ、一方で、今回は一発勝負の準決勝と違い、ホーム&アウェイの戦いになることを踏まえ、冷静に『戦い方』への意識を研ぎすませる。「ホーム&アウェイ戦の初戦の戦い方には、いろんな考え方があると思う。ただ、僕は初戦のホーム戦で『勝利』をおさめられるかが一番大事だと思っている」と長谷川監督が言うように、選手もまた第一戦における、ホームでの『勝利』を強調する。
「先に勝ってアウェイ戦に乗り込むことができれば、よりいい状況で2戦目を迎えられる。失点をせずに、勝ち切れる試合ができれば大きなアドバンテージを僕らは持つことができると思う」とMF遠藤が語れば、「1戦目で勝ち切る事ができれば、2戦目も粘り強く戦えるはず。バランスを崩してでも出て行こうという戦いもしなくてよくなりますからね。だからこそ勝ち切ること。まずは勝って2戦目に繋げたい」とMF阿部 浩之。
その共通理解を持って今節も90分を戦いきれるかーー。
もちろん、戦術的な共通理解は必要だが、それを発揮するためのメンタルと勝利への執念が大一番では最大の武器になるということを、G大阪は知っている。
[文:高村 美砂]