レポート
2015/11/25(水)12:33
G大阪「2列目の活躍と堅守の再構築が結果に」【戦力分析】
『三冠王者』としてのプライドを引っさげ、3年目の指揮となる長谷川 健太監督のもと2015シーズンの戦いに臨んだガンバ大阪。昨年を戦ったメンバーから大幅な戦力の入替えがなかったことを踏まえ「個のレベルアップをチーム力アップに繋げること」をコンセプトに、シーズンをスタートさせた。
システムは昨季同様の4-4-2でスタートしたが、FW宇佐美 貴史、FWパトリックの2トップに対する警戒が強まっていることを踏まえ、4-2-3-1に変更。2ndステージはFWパトリックを1トップに、MF倉田秋をトップ下に据えた形で安定感を示してきた。
その戦いのカギを握るのはやはり前線を預かる選手たちだ。チーム最多の19ゴールを挙げ、かつ今季はアシストでの活躍も目を惹いた宇佐美はもちろん、前線でボールを収めてタメを作りつつ、宇佐美に次ぐ12ゴールを挙げたパトリック。また前線の勢いを加速させる上で欠かせない2列目の選手たち――MF倉田やMF阿部 浩之、2ndステージ最終節で2ゴールを決めたMF大森 晃太郎らだ。特に昨年同様、いかに2列目の選手が攻撃に、得点に絡めるのかがポイントの1つだったが、それについては途中、やや停滞を感じたものの、リーグ終盤戦は明らかに彼らの好調が結果に直結した試合も増えた。
2列目の活躍と同様、リーグ終盤にかけて守備の安定を取り戻したことも結果を導きだす大事な要素の1つだったと言える。1stステージでは最少失点を誇ったのに対して、2ndステージ序盤戦は失点が目立ち、それによってリズムを引き寄せ切れない印象も強かったが、夏を過ぎ、8節の清水エスパルス戦で2ndステージ初の完封勝利を飾ったのを機に徐々に守備力が安定。特に終盤戦は堅守を示しながら、チャンスを確実にものにしていく前線の勝負強さが相まって、最終的にはチャンピオンシップ出場に繋げることができた。
特筆すべきは、このリーグ戦と並行して、AFCチャンピオンズリーグの戦いでも日本チームとしては最高のベスト4進出を果たしたこと。近年、リーグ戦とACLを並行して戦うJクラブがその両方で結果を出せなかったこと考えても、ここまでの全ての大会において上位争いを続けてきた事実は、『三冠王者』にふさわしい戦いだったと言える。
ただ一方で、長谷川監督、選手たちが、FUJI XEROX SUPER CUP 2015以降、『タイトル』を獲れていないことを悔しく感じているのも事実だ。スルガ銀行チャンピオンシップ2015では、南米王者のリバープレートに0-3で敗れ、Jリーグヤマザキナビスコカップでは昨年同様、決勝進出を果たしながらも鹿島アントラーズに完敗。現時点で『タイトル』の獲得チャンスを残すのは今回のチャンピオンシップと天皇杯の2つになっている。それだけに、残す『2タイトル』への意欲は相当強い。その思いを結果で示すためにも、今はまず目前に控えるチャンピオンシップの準決勝、浦和レッズとの戦いに全てを懸ける。
[文:高村 美砂]