5月にＪリーグ36クラブから、福島県楢葉町のＪヴィレッジと福島県静岡県静岡市のＪ－ＳＴＥＰに集められた56名のＵ-１４選手たち。その中から選抜されたメンバー18名が第2次強化トレーニングに再集結しました。
トレーニング2日目の31日（金）に行われたのが、ここ福島で活動中のＪＦＡアカデミー福島との練習トレーニングマッチ。将来のサッカー日本代表選手を育成すべく、中高一貫の指導で選手の個を育てるプロジェクトであるＪＦＡアカデミー福島の選手たちと、Ｊリーグ各クラブの指導方針の下で育ったＪリーグＵ-１４選抜選手たちが対戦します。
「Ｊリーグクラブの育成組織はプロ選手を育成、ＪＦＡアカデミーは日本代表選手を育成する。最終的な目標は一緒だが通過点が違う両者の練習ゲームを通じて、Ｊリーグアカデミーとして、育成の現状がこれで良いのかという投げかけになれば」と上野山信行Ｊリーグ技術委員長。「各クラブが、ゴルフの石川遼選手のような若い存在を輩出することがＪリーグの将来的な盛り上げにつながりますが、いくらクラブのアカデミー出身の選手だからといっても、起用するかどうかはその時のトップチームの監督次第。だから監督を納得させられる選手を、アカデミーが生み出していかないといけません。各クラブの育成組織が、“自分たちはＪリーグの盛り上げに一番重要な組織である”という認識を共有し、今日のような試合で見られる現状を今後の方向性に取り入れてもらうべく、Ｊリーグが各クラブをサポートしていければと思います。トップチーム同士は敵でいいですが、育成機関同士は仲間ですからね」と、今日の試合の意義を語ります。
35分ハーフで行われた試合は、前後半にそれぞれ2点を奪ったＪリーグＵ-１４が4-0と勝利。「いつもやっていることがどれだけできるかが課題だったが、なかなか成果を出せなかった。一人一人が前を向き、相手の背後を取っていくという、サッカーの原則を忠実に行おうとしたが、プレッシャーが厳しくなると難しかった」と、対戦した原田貴志ＪＦＡアカデミー福島男子Ｕ-１４監督は話します。
しかしその中でも、ＪリーグＵ-１４を率いた小松義典アカデミーダイレクターは、今後に向けた課題を口にします。「各クラブで指導を受けている選手たちを見ると、基本的な指導はおそらく変わらないのだと思うが、その基本を“うろ覚え”の基本にすることの危うさを感じます。例えば、相手に激しく寄せるという当たり前の事も、日本ならば今日くらいの寄せで相手はバックパスしてくれるかもしれないが、世界が相手ならば強引に打たれるようなところもある」。こうした発見をＪリーグ各クラブのアカデミーに共有していくことも、Ｊリーグ選抜による育成年代のトレーニグやキャンプの意義となっていきます。
「相手と比較して何が自分に足りないか、良い点、悪い点を確認し、それを“良い経験”だけで終わらせないことが大事。プロになりたいのならばもっと考えてプレーし、目標に向かって必死になれ」と上野山技術委員長から檄を受けたＪリーグＵ-１４の選手たちは今後、8月24日（月）から9月1日（火）までオランダキャンプへ。現地ティルブルグで開催される「第16回 国際ユース大会 Audax-Willem II」に参加します。
