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2009/04/28

「川崎フロンターレ算数ドリル」完成

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6年生の算数の授業中。倍数について説明する担任の斉藤武さんがその教材を取り出すと、クラス中に笑顔と歓声が広がりました。自らも制作に携わっていたという斉藤さんは、そんな子どもたちの反応を目の当たりにし「うれしかったです」と目を細めていました。

「川崎フロンターレ算数ドリル」のきっかけとなったのは、2008年1月にJリーグが各クラブの担当者とともに行った「イレブンミリオン」プロジェクトの欧州視察です。
欧州各地を回った視察団は、イングランドのプレミアリーグに所属する強豪クラブ、アーセナルを訪問し、コミュニティー担当スタッフからの活動報告を受けました。その活動が、川崎フロンターレの天野春果さん(川崎フロンターレ マーケティンググループ課長)の心に突き刺さった。「これはすごいと思いました」。

天野さんは説明するアーセナルのスタッフから「表紙の彼はファブレガスだよ」と、一冊の小冊子を見せられたといいます。アーセナルでの活躍はもちろん、クアトロ・フゴーネス(四人の創造者たち)の一人としてスペイン代表のEURO2008優勝に貢献したセスク・ファブレガス選手が印刷されていました。サッカーの話題をふんだんに使用したその教材は、ロンドン市がアーセナル側に委託しイギリスの子ども向けに作られたスペイン語の外国語学習教材でした。

「アーセナル側の担当者は、これは当然のことで、選手たちはコミュニティ活動に週一回は携わっていると話していました。ただし、それでも少ないくらいだとも付け加えていました」と天野さん。そんな説明を聞いた天野さんはセスクのような大選手ですら当たり前に地域貢献活動に携わるアーセナルというクラブの姿勢に共感。「愛されるクラブは歴史やスターの存在だけの要素で形成されるのではなく、アーセナルのようにクラブ自らが地域に溶け込み、愛されるべく選手、スタッフが努力をしている」事を改めて痛感し、シーズンチケット購入まで「68年」もの時間がかかるのも当然と感じたといいます。資料として教材を持ち帰れないかと尋ねると、視察者全員に配布するだけの余裕がないと言われ、すぐさまカラーコピーを懇願したそうです。

 川崎フロンターレでこれを応用できないかと考えた天野さんは帰国後、すぐに行動を開始。ところが学校へ納入する教材の選定に関しては教育委員会からの許可を含めてかなり煩雑な手続きが必要で、この許諾を得るのが難しいことが見えてきました。ただし、副教材であれば学校に選定の決定権があることもわかってきました。地道に川崎市内の学校に相談し続けては断られるということを繰り返すなか、ついに運命の出会いに到達します。

2008年7月の最終週。川崎フロンターレは名古屋グランパスをホームに迎えていました。この試合前に、親子サッカー教室が行われ、ここに等々力競技場のお膝元とも言える上丸子小学校が参加。この上丸子小学校は川崎フロンターレの巡回コーチが定期的に訪れていた事もあり、もともと川崎フロンターレを受け入れる土壌があったといいます。わらをもすがる思いの天野さんは橋本晃一校長先生に事情を説明しました。

「それはおもしろいですね。と言ってもらえました」と天野さんは運命の出会いを振り返ります。

年度が変わった今では指定は外れていますが、ちょうどこのとき上丸子小学校は川崎市から算数の研究推進校の指定を受けていました。「算数の推進校として役には立てるのかなと」という思いが橋本校長の脳裏をよぎったといいます。

当初、天野さんからの提案は計算ドリルや漢字ドリルを全学年にわたってやれないかというものでしたが、それを実行可能なレベルに落とし込んだ結果、6年生向けの算数ドリルという形で決着。学生指導要綱の改定による教育範囲の変更もこれを後押ししました。

「今、6年生で学んでいるものが将来は5年生、4年生で学ぶ内容になります。今、6年生版を作っておけば、将来、5年生版、4年版へと継承していけます」と「フロンターレ算数ドリル制作委員会」の蟻生寛郎先生は将来的な拡大の可能性を見据えたものである旨を説明していました。

いくつかの幸運や見込みの甘さはあったにせよ、最後は責任を持つ立場の人間の決断と、実務者の情熱です。新しいことをするには何にせよ問題が出てきます。その問題をひとつずつ克服し、連日深夜まで作業が重ねられました。

「ここまで来るのは長かったですね。だけど、これを作る過程で教師としても成長できたと思います。大変でしたが、やりがいがある仕事でした」と斉藤さん。

2008年10月に製作が本格的にスタートした算数ドリルは約4ヶ月で完成。子どもたちに笑顔で迎えられ、授業に活かされる事となりました。

実際に教材を笑顔で受け取っていた6年生の野村華蓮さんは「いろいろな選手が載っていておもしろかったです。フロンターレの試合を見に行っていたこともあるので、楽しく勉強できると思います」と川崎フロンターレ算数ドリルでの勉強に意欲を見せ、その隣に座る小林将大くんも「わかりやすいと思います。勉強もがんばれそうです」と話していました。

「アーセナルの事例でも、製作した当初は現地のPTAに当たる組織からの反発も少なからずあったようです。だけど、成果が出ていると聞いています。今は川崎フロンターレからの持ち出しですが、将来的には川崎市に114校ある小学校全校で使ってもらえれば最高ですね」と天野さん。野村さん、小林くんの「わかりやすいです」という言葉を伝えると、天野さんは笑みをこぼしました。そして、そんな天野さんの姿からここまでの道のりの長さを感じます。

特定のスポーツチームによるこうした教材の制作は国内では始めてのことです。情熱と決断の結晶は、子どもたちに全面的受け入れられてスタートしました。

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