J League・スカパー!New Year Cup
コラム
新設のリーグ戦は2015シーズンの試金石となる貴重な大会に
日本代表でも活躍する鹿島の柴崎岳
いよいよ“蹴春”到来! 3月7日(土)の新シーズン開幕に向けて各クラブが続々とキャンプインする最中、2月1日(日)~14日(土)にプレシーズンカップとして宮崎県、鹿児島県で「Jリーグ・スカパー!ニューイヤーカップ」が開催されることになった。
同大会はこれまで各クラブが個別に実施していたシーズン前のトレーニングマッチを、複数のクラブが集まって一つの大会として集中開催するもので、数多くのクラブがキャンプに訪れる両県の3会場に分かれて実施。試合はJリーグオフィシャルブロードキャスティングパートナーのスカパー!によって中継される。
福岡の指揮官に就任した
井原正巳新監督
1日(日)~7日(土)に開催される宮崎ラウンドには、鹿島アントラーズ、アビスパ福岡、大分トリニータが参加。鹿島はAFCアジアカップ2015の日本代表に選出された柴崎岳、昌子源、植田直通の3選手を始め、昨シーズンのJリーグアウォーズでベストヤングプレーヤー賞を受賞したカイオなど若手の台頭が著しい。若いメンバーを数多く擁しながらAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の出場権を獲得するなど、新たな黄金時代の到来を予感させる。
井原正巳新監督を招聘した福岡は、かつてチームを支えた坂田大輔や末吉隼也、中村北斗、鈴木惇を再び獲得。城後寿やU-22日本代表としても期待される金森健志との融合で昇格争いに食い込む可能性は十分にあると言っていいだろう。田坂和昭監督率いる大分は、“サンペイ”の愛称で親しまれた三平和司が3シーズンぶりに復帰し、司令塔として期待される兵働昭弘が加入。ともにムードメーカーとして期待される選手だけに、J1復帰を目指すチームにとっては大きなプラスとなりそうだ。
浦和はズラタンを始め、大型補強に成功
続く8日(日)~14日(土)には、浦和レッズ、清水エスパルス、ジュビロ磐田、ロアッソ熊本が参加する鹿児島ラウンドが開催される。昨シーズン終盤の失速でリーグ優勝を逃した浦和は、ズラタン、石原直樹、高木俊幸らJリーグで実績のある選手を数多く補強し、ACLとの過密日程を十分に乗り越えられるだけの戦力を整えた。9シーズンぶりのリーグ王者、そして2007年以来となるアジアの頂点を目指す戦いのスタートからは目が離せない。一方、捲土重来を期す静岡勢にも注目だ。昨シーズン最終節で辛くもJ1残留を決めた清水は、アキレス腱断裂からの完全復活を目指す“エース”長沢駿に期待が集まる。シーズン半ばで指揮官に就任した大榎克己監督がいかなるチーム作りを進めるのかも気になるところだ。
磐田を率いる名波浩監督。
チーム再建の任務を託された
磐田も昨シーズン途中の就任となった名波浩監督の采配が関心を集めている。自身の引退会見で「後継者」に指名した上田康太、太田吉彰のユース出身組を獲得。アカデミーを含むコーチ陣にもOBを登用し、“ジュビロイズム”を継承させるべく取り組む。“知性派”として知られる小野剛監督が率いる熊本は昨シーズン終盤に尻上がりに結果を残して、J1昇格プレーオフ出場圏内まで勝ち点10差と迫った。今シーズンはFWにJリーグ通算27得点の常盤聡、同33得点の平繁龍一を加えた新チームで更なる上位進出を狙う。
なお、今大会は通常のリーグ戦と同じく90分間(前後半各45分)で行われ、勝敗が決しない場合は引き分け。勝ち点は勝利=3、引き分け=1、敗戦=0となる。プレシーズンのトレーニングマッチという特性から選手交代は8名まで認められており、本大会で累積警告が2回に達した場合は、同大会の直近の1試合が出場停止(明治安田生命J1リーグ、明治安田生命J2リーグ、ヤマザキナビスコカップには影響しない)となる。また、各ラウンドの優勝クラブには優勝杯と賞金300万円が、2位以下のクラブにもそれぞれ賞金が与えられる。
開幕に向けて各クラブの思惑が交錯するプレシーズン。この「Jリーグ・スカパー!ニューイヤーカップ」が、その準備段階として貴重な位置づけとなることは間違いない。応援するクラブはもちろん、ライバルクラブの気になる仕上がりを確認する絶好の機会となる。
文=青山知雄(サッカーキング)