シーズンのおよそ3分の1を消化した明治安田生命J1リーグだが、上位争いを抜け出すチームはなく、いまだ混戦の展開が続いている。
5月はAFCチャンピオンズリーグ(ACL)に出場した4チーム以外は4試合を消化。ACL組は第13節の試合が7月5日に後ろ倒しとなっているため、3試合の消化となっている。
そのため順位表には暫定の二文字が付くものの、首位に立った柏の快進撃はやはり驚きだだろう。7節から始まった連勝は、5月に入っても途絶えることはなく、ついにその数は7にまで伸びている。C大阪やFC東京といった難敵の挑戦も退けて、5月は4戦全勝。堅い守りは揺らぐことはなく、クリスティアーノら攻撃陣も状態を上げている。攻守両面で高いクオリティを備えているだけに、今後もしばらくは上位争いの主役を演じていきそうだ。
大阪の2つのチームも、好調を維持する。G大阪は2勝1分、C大阪は3勝1敗と、この5月に多くの勝点を積み上げた。ともに守備の安定が躍進の要因。攻撃陣にもタレントは揃っており、さらなる伸びしろも期待できそうだ。
浦和はやや失速した感は否めない。5月は1勝1分1敗と五分の成績に終わった。第11節は新潟に6ゴールを奪っての快勝を収めたが、続く第12節の清水戦では2点のリードを守り切れず、結果的に3-3とドロー。リーグ随一の攻撃力は健在ながら、失点をいかに少なくしていくかが、今後のテーマとなるだろう。
復調の気配を漂わせるのは川崎Fだ。序盤戦は勝ち切れない戦いが続いていたものの、5月は3戦全勝と結果を出した。ACLでも浦和とともに準々決勝に勝ち上がるなど、柏と同様に今最も勢いのあるチームのひとつだろう。今季から指揮を執る鬼木 達監督の新たなスタイルがようやく浸透してきた印象だ。
FC東京と鹿島は停滞した感が否めない。鹿島はACL敗退により、5月31日に石井 正忠監督の解任を発表。大岩 剛新監督の下でリスタートを切ることになった昨季王者は、今後いかなる戦いを見せるのか。要注目だ。
横浜FM、神戸、仙台といった中位陣は、なかなか勝点を伸ばせずに、上位争いへと食い込めなかった。怪我人が続出した鳥栖は、2勝1分1敗と、苦しい中でもなんとか踏みとどまっている。
磐田と清水の静岡勢は、5月はひとつも勝利を挙げられず、苦しい戦いが続く。甲府も5月は未勝利で浮上のきっかけを見いだせず、健闘していた札幌もここへきて3連敗と、調子を完全に落としている。
下位争いでは、16位の広島が1勝2分1敗とやや持ち直してきた印象だが、降格圏を抜け出すには至らなかった。17位の新潟と、18位の大宮は、それぞれ監督の交代を発表。新潟は呂比須 ワグナー監督、大宮は伊藤 彰監督の下で、6月の巻き返しを目指す。
個人記録に目を向ければ、5月27日に行われた第13節において、横浜FMの中澤 佑二が、名古屋の楢﨑 正剛に次ぐ、史上2人目となるJ1通算550試合出場を達成。1999年3月13日の初出場以来、19シーズンに渡って築いてきた偉業である。