記者会見で「勝利を2万6000人の広島のサポーターに届けることができなかったことが残念」と何度も語り、ミックスゾーンでも「(勝てなくて)申し訳ない」とポツリと言ったのが、森保一監督(広島)だ。一方、浦和のペトロヴィッチ監督は「引き分けという結果は妥当」と安堵の表情を浮かべていた。
両監督の言葉はそのまま、この試合の内容を表現している。広島は勝てた試合を引き分けてしまい、浦和は勝点1で御の字。そんな気持ちが試合後の両チームを支配していた。
特に前半は完璧に広島のゲーム。いつもの広島戦同様に球際の厳しさを前面に押し出した守備で主導権を握ろうとした浦和だったが、「なかなか、うまくはまらなかった」と柏木陽介(浦和)が言う。「潰せる」と浦和が手応えを感じて前に出ても、圧力をかけても、広島のボールの動かし方が早い。球際でも例えば塩谷司が相手を吹き飛ばし、今季初出場の茶島雄介が小さい身体でも強さを発揮してボールを前に運ぶ。局面の戦いでは広島に軍配があがった。……