浦和の足踏みによって混戦の模様を呈してきた明治安田生命Ｊ１リーグ。首位の鹿島から5位の柏まで勝点3差にひしめき合う拮抗した展開となっている。
前節、浦和を撃破し首位に浮上した鹿島は、神戸とホームで対戦。安定した守備とチャンスを確実にものにする決定力の高さを示し、際どい展開をものにする昨季のような勝負強さが蘇りつつある。対する神戸は序盤戦の勢いに陰りが見え、ここ4試合は勝ち星から見放されている。前節もリードを守り切れずに広島とドロー。嫌な流れを断ち切るためにも、目に見える結果を手にしたいところだ。
首位から転落した浦和はアウェイで新潟と対戦。ここ2試合、得点が奪えておらず、沈黙する攻撃陣の奮起が何よりも求められている。新潟は三浦 文丈監督が退任し、呂比須 ワグナー新監督の就任が決定。今節は片渕 浩一郎コーチが監督代行として指揮を執る。結果が出ていないなかで、このドラスティックな改革が吉と出るか否や。上位チーム相手に苦戦が予想されるが、背中を押してくれるホームの観衆の前で意地を見せたいところだ。
浦和と勝点で並ぶ3位のＧ大阪は、札幌の本拠地に乗り込む。ＡＦＣチャンピオンズリーグ（ＡＣＬ）は敗退に終わっただけに、このリーグ戦のタイトルに向けて気持ちを切り替えたいところ。ゴールを量産していた堂安 律がＵ－20日本代表の活動でチームを離れたものの、リーグ随一の選手層を備えているだけに、大きな影響はないだろう。前節は下位の清水に勝ち切れなかっただけに、今節は確実に勝点3を掴みたい。札幌は前節、大宮に競り勝ち、状態を上げている。粘り強い守備でＧ大阪の攻撃に対抗しつつ、カウンターやセットプレーから好機を窺いたい。
FC東京vs柏の好調対決も注目だ。前者は3連勝、後者は4連勝で、それぞれ4位と5位に位置している。FC東京は大久保 嘉人に当たりが出てきたのは好材料。このエースのパフォーマンスが今節もカギを握るだろう。柏はハイプレスを軸とした堅守に磨きがかかる。最終ラインを支える中山 雄太がＵ－20代表の活動で不在となるのは痛手だが、組織的な守備でFC東京の強力な攻撃陣に対抗したい。
磐田と川崎Ｆの一戦も興味深い。磐田は4試合負けがなく、川崎Ｆは怪我人が復帰し、状態を上げている。ともに浮上のためにも負けられない戦いに。中村 俊輔、中村 憲剛の司令塔対決にも大いに注目したい。
Ｃ大阪はホームで広島と対戦。前節はミスから失点し、柏に敗戦。それでも守備組織に破たんはなく、大崩れはしないだろう。攻撃面に課題を抱えるものの、コンディションを高めつつある清武 弘嗣を中心に、リズムを掴んでいきたい。広島は4試合勝利がなく、16位に沈む。守備の安定感は芽生えてきただけに、こちらもいかに得点を奪うかがテーマに。ルヴァンカップで来日初ゴールを奪ったフェリペ シウバのパフォーマンスがカギを握りそうだ。
3連敗と苦しむ横浜FMは、ホームで甲府と対戦。ここ3試合で得点を奪えておらず、攻撃面の改善が急務となっている。齋藤 学ら個人の能力の高い選手が揃っているだけに、彼らの力を引き出すための組織性を示したい。甲府は3試合負けがないものの、勝ち切れない試合も目立つ。ルヴァンカップで復帰したウイルソンが、状況改善のキーマンとなるだろう。
4試合勝利から見放される清水は、個々が踏ん張りどころ。今節はホームに鳥栖を迎える。前節はリードを守り切れずにＧ大阪と引き分けただけに、逃げ切るための戦い方を徹底したいところ。対する鳥栖も勝ち負けを繰り返す不安定な戦いが続く。前節、負傷した豊田 陽平の出場が危ぶまれるなか、苦手とするアウェイゲームで勝点3を掴めるか。
最下位に沈む大宮は、ホームに仙台を迎える。第9節ではライバル浦和を撃破し、今季初勝利を挙げたものの、続く第10節では札幌に0-1と敗戦。その勢いをつなげられなかった。課題はやはり、ここまでわずか3得点の攻撃面。加入後、いまだ無得点の大前 元紀の爆発が待たれるところだ。対する仙台も状態はいいとは言えない。こちらは20失点を喫する守備が課題。2失点を喫したFC東京都の前節もセットプレーの対応に課題を残した。まずは守備を整備し、浮上の足掛かりをつかみたい。
■各試合の見どころをチェック
清水vs鳥栖
鹿島vs神戸
横浜FMvs甲府
新潟vs浦和
FC東京vs柏
磐田vs川崎Ｆ
Ｃ大阪vs広島
大宮vs仙台
札幌vsＧ大阪
