28日に行われたロシアワールドカップ アジア最終予選で、日本がタイに4-0で勝利し、グループ首位に浮上しました。
試合後のハリルホジッチ監督コメントです。
■ヴァイッド ハリルホジッチ監督
「素晴らしい勝利だった。しかし不満を抱く点もあった。相手は非常に意欲的に質の高いプレーをした。我々は素晴らしいスタートを切って2−0と点差を開くことができたが、そのあとプレーが止まってしまい、その時間帯に相手は我々のスキを突き、チャンスをたくさん作った。後半にも2得点を挙げることができたが、(川島)永嗣が素晴らしい功績を残してくれた。非常に喜ばしいことだ。私は彼を信頼していたが、それを裏付けてくれた。ブラボーと讃えたい。我々は今、いい位置につけているが、最も難しいのはこれからだ」
――単純なパスミスも目立ったが?
「嬉しくない点だ。少し気を抜いたのか、ハードワークが足りてなかった。フラストレーションを感じさせるパスのクオリティになる時間帯があった。今日の対戦相手がより高いレベルの相手だったら、まったく違った展開になっていたかもしれない。こういったところからも我々は教訓を得ないといけない」
――昨日の会見で「チームの強みはコレクティブ」と言っていたが、今日の試合は個の力に救われたのでは?
「私は批判の素を提供したのかもしれない(苦笑)。いずれにせよ4-0で勝つことができた。私の発言を批判のために利用してもいいが、4-0で終わらせることができた。このような発言をする監督は珍しいかもしれないが、私は選手たちを祝福したい。ただ、ハイレベルを求めた場合、集中力やハードワークが足りなかった。このような内容になってしまうと躓くこともあるから、ここからしっかり教訓を得る必要がある。しかし試合のほとんどの時間帯は選手を称えるべき内容だった。素晴らしいプレーがあり、美しい得点もあった。もちろん私も監督として、集中力とハードワークを続けさせないといけないという教訓をこの試合から得ることができた。少しでも気を抜くということも、なくしていかないといけない」
――これまでデュエルの大切さを共有していたが、今日の試合では3対1の場面でもボールを取り切れずにチャンスを作られる場面があったが?
「今日の試合はパーフェクトとは言えない内容だった。経験不足やコンディションが十分でなかったし、ゲームマネジメントも欠けていた。あまりにも簡単なパスミスがあった。そしてプレッシャーがかかるところでのデュエルも目指していたが、タイにも技術があった。サウジ戦、オーストラリア戦のタイの技術を無視してはいけない。
今日は何人かの選手に疲れも見えた。少しプレッシャーを感じている中で、未熟さが出てしまった選手もいたかもしれない。中盤ではボールコントロールとエリアのコントロールができなかった。攻撃の組み立てをするときは、選手同士の距離が開いていて連動することなく止まっていたため、ボールをつなぐことが困難だった。
ただ、私にとっても選手にとっても教訓を得ることができた試合だった。今後もトレーニングをして、さらに向上しないといけない。今後の3試合はさらに難しいゲームになる。よりよいコンディション、特にフィジカルコンディションを上げて、さらに集中力も高めていかないといけない。選手たちにはロッカールームで「また6月にやりましょう」という話をした、選手によってはクラブでの立場や状況の改善をしていかないといけない。
(予選は)最終ストレートに入ってきている。3試合のうち1試合目はアウェーでのイラク戦で、非常に難しいゲームだ。しっかり準備して挑んで結果を残せば、W杯への道は大きく開かれると思う」
――今まで「ストライカーがいない」と嘆いていたが、今日も久保選手が素晴らしいゴールを決めた。彼の中に探していたストライカーの資質がある?
「久保はこの2試合で質の高さ、決定力の高さを見せてくれた。素晴らしい2ゴール、さらにアシストも見せた。私が彼を起用しようと思って使ったが、彼自身が裏付けしてくれた。守備も含めてたくさん走ったので、最後は少し消えかかっていた。それもあって私は、彼にフィジカルコンディションを上げるように要求している。代表のサイドのポジションは、アップダウンが激しいので、そうしないと役割を果たせない。若くて、このようなプレーができる選手を発見できたので、さらなる進化を期待したいし、成長を続けてほしい。岡崎が点を取ったことも喜ばしい。(香川)真司もそうだ。それが自信につながる。この大会はまだまだ続くので、意欲的に続けないといけない」
――ボランチに入った酒井 高徳の評価は? また長谷部不在の中、守備的MFとCBを含めてどういった底上げを期待しているか?
「高徳はハンブルクであのポジションをプレーしている。ただ、クラブでは完全に守備的な役割だ。代表ではボールリカバリーと後ろからのビルドアップを担っていた。この組み合わせは初めてだ。蛍のような選手は攻撃ではさらに期待している。簡単な場面でのパスミスがあったので、前半は少し恐れながらプレーしているように見受けられたが、後半は良くなった。この守備的MFというポジションでは、長谷部や今野など今はプレーできない選手がいる。もちろん初めての組み合わせなので、すぐハイレベルでプレーすることは期待できなかったが。2人とももっとできたかもしれないが、私は満足している」
――試合後に本田選手と話し込んでいたが?
「彼のことをしっかりサポートしているが、クラブの中での彼の状況を改善してほしいということだ。できるだけ長い時間、試合に出て欲しいということだ。他にもいろいろ話したが、ここでは話すことはできない。いくつかのアイデアを授けたが、それは彼とわたしの間での話だ。いろいろなことを考えているが、それが実現することを期待したい」
――ハーフタイムの修正は難しかったと思うが、どういう指示を出したのか?
「ハーフタイムではたくさんの修正を加えた。まずストッパー2人、サイドバック2人、中盤の2人、真司のポジションのところもそう。ほぼすべての選手に、後半のやるべきことを考えると修正点があったということだ。後半に入ってからはより形も整ってきたし、コントロールもできていた。しかし、カウンターからPKを与えてしまった。そのような場面もあったが、技術的なミスは減ったし、ゲームマネジメントもできるようになっていた。前半は集中力の問題であったので、ひとりひとりに指示をした。
ただ、ネガティブなこともたくさん言ったが、今日は4-0で勝った試合だ。4-0でこういう発言をする監督は少ないと思う。選手たちにはしっかりいい評価をしてあげるべきだ。行動、そして効果的なプレー、そういったところで彼らはしっかり合格点を付けることができる。皆さんもポジティブなことと、ネガティブなことを書くと思うが、それが絶対値にならないようにお願いしたい。4-0で勝っているのだから。これからまた集中していくし、発展していくと思う。UAE戦と違って、ゲームマネジメントがあまりできなかったかもしれない。スペクタクルな試合になると思ったのか、少し気を抜いてしまったところがあった。ハイレベルで求められる厳しさが足りなかったのかもしれない」