見慣れないサックスブルーのユニホームを身にまとい、中村 俊輔が新天地・ジュビロ磐田でのデビューを飾った。
慣れ親しんだトップ下としてピッチに立ち、90分間フル出場。「やりたい攻撃の半分しかできなかった」と納得のいくパフォーマンスを示せなかったが、磐田の攻撃のほとんどがこの新たな指令塔を経由して構築されており、その存在感の大きさは、チームを移っても変わることはなかった。
前線でボールを引き出し、決定的なパスを供給する場面は少なかったものの、低い位置でボールを受けてシンプルな縦パスや大胆なサイドチェンジでリズムを生み出していく。セレッソ大阪の堅い守備に手こずり、流れの中からなかなか決定機を作れないなか、大きなインパクトを与えたのは、やはりセットプレー。開始早々の3分、やや遠めの位置で得たFKの場面であいさつ代わりとばかりにいきなりゴールを狙うと、前半終了間際には左サイドからピンポイントクロスを供給。エリア内での味方のファウルにより好機は潰えたものの、ゴールの予感を十分に漂わせていた。
後半にも正確なCKであわやという場面を演出するなど、日本最高のレフティが演出するセットプレーは、今季の磐田の最大の武器となることを予感させた。
ゴール前でターゲットとなるDF大井 健太郎は「俊さんのボールはほとんどチャンスになっていた。中の動き出しと合わせていけば、武器になるのは間違いない」と歓迎し、FW川又 堅碁は「もっとゴール前でファールをもらう回数を増やすとか、工夫をしないといけない」と、その頻度を高めることの重要性を説いている。
一方で、中村自身はこの日の戦いを「新鮮だった」と振り返った。
「ただ環境を変えればいいというわけではないけど、新しい仲間とプレーしていても、監督の何気ない一言でも、自分のなかでまだ足りないことに気づくこともある。いい時間を過ごせていると思います
今年39歳を迎えるレジェンドは、新天地で新たな可能性を見出そうとしている。今もなお成長をやめようとしない中村のパフォーマンスは、今季のJ1リーグに数多くの驚きをもたらしてくれそうだ。