宮崎ラウンドは、横浜FCの優勝で幕を下ろした。初戦で福岡戦に3-0と快勝を収めると、続く鹿島戦では少ないチャンスをモノにして1-0。最終戦の長崎戦は、先制される展開ながら、すぐさま追いついて1-1のドロー。2勝1分とし、優勝を決めた。
若手の積極性が光る一方で、カルフィン ヨン ア ピンら新加入選手も着実にフィット。今年50歳を迎える三浦 知良も健在をアピールしており、チームの仕上がりは上々だ。とりわけ際立ったのは、奪った後の切り替えの部分。スペースを目掛けて一気に飛び出すスピード感は、今季の大きな武器となりそうだ。
「もちろん改善点もありますが、なにより結果を手にしたことで選手たちの自信になったのが大きい」と中田 仁司監督も手ごたえを語っており、シーズンに向けて大きな成果を得られた大会となったに違いない。
その横浜FCに敗れたものの、2勝1敗で2位となった鹿島は、「試合を通してコンディションを高めることと、チーム全体で戦術理解を深めていくことがこの大会の狙い」(石井 正忠監督)だった。
始動してから日にちが浅く、新加入選手が多く加わったことで、試合をこなしながら双方を高めていく必要があった。「選手の状態は日に日によくなってきていると感じています」と石井監督が手ごたえを語る一方で、「もうちょっと得点であったり、チャンスをもっと作りたかった。そこは今の課題」と、攻撃面に関しては改善の余地が残る。18日にFUJI XEROX SUPER CUP 2017、そして21日にはACLの初戦を控えるなか、調整の時間は決して多くなく、今後は急ピッチでのチーム作りが求められるだろう。
1勝2敗で3位に終わった福岡だが、昨季とは異なるスタイルが垣間見えた。堅守速攻だけでなく、ポゼッションの時間帯も増加。岩下 敬輔や山瀬 功治ら、ボールを落ち着かせられる選手が加わったことで、攻撃のバリエーションが増加していきそうだ。
結果こそ出なかったものの、「体力的な部分をしっかり上げることと、いろんな組み合わせを試すことができたので、これは収穫」と井原 正巳監督は手ごたえをつかんでおり、開幕までにその精度をさらに高めることがテーマとなりそうだ。
長崎にとっては厳しい結果となった。鹿島には健闘を見せたものの、福岡には同様の形から失点を重ねて4失点。横浜FCには先制しながら、リードを守り切れなかった。ただし課題は守備よりも、攻撃のバリエーション不足。3試合を通じて得点はセットプレーからの1点のみで、相手を崩す形は決して多くなかった。昨季の得点源だった永井 龍が移籍した穴をいかに埋めていくのかが大きなテーマとなる。
それでも高木 琢也監督は「組み合わせの部分はいろいろ見えたかなと思います。例えばファンマを起点にした時とかの絡み方とかが、何となく見えたのは良かったですね」と前向きに話す。新たな得点源として期待されるファンマを軸とした攻撃パターンを確立できるかどうかが、今後の焦点となるだろう。