2月5日に開幕する、2017 JリーグDAZNニューイヤーカップ 鹿児島ラウンドに出場する4クラブのチーム紹介です。
■ジュビロ磐田
昇格1年目となった昨季の明治安田生命J1リーグでは、1stステージでは健闘したものの、2ndステージではわずか2勝と苦戦。残留争いに巻き込まれたものの、年間13位でシーズンを終えた。
巻き返しを図る今季は、積極補強で戦力アップに成功。なかでも注目は、中村 俊輔だ。
横浜F・マリノスから加入した稀代のファンタジスタは、得点力不足に泣いた昨季のチームに創造性をもたらす存在として大きな期待が寄せられる。今大会でもその左足には要注目だ。
ほかにも最前線には名古屋グランパスから川又 堅碁、最終ラインにもヴィッセル神戸から高橋 祥平を獲得するなど、各ポジションに核となり得る選手を迎え入れた。
またJリーグ初のウズベキスタン人プレーヤーとなるフォジル ムサエフも獲得。実力は未知数ながら、チームのコンセプトを体現できるプレーヤーとして、名波 浩監督からの期待も大きい。
個性豊かなタレントを揃える今季の磐田だが、やはり肝となるのは4シーズン目を迎える名波監督の手腕だろう。卓越した戦術家であり、情熱を備えたモチベーターでもある指揮官は、このチームをいかにして束ねていくのか。若き知将が思い描くスタイルを選手たちが体現した時、磐田の躍進は現実のものとなるはずだ。まずはこのニューイヤーカップで、可能性の一端を示したい。
■ギラヴァンツ北九州
昨季、明治安田生命J2リーグで最下位に沈み、J3降格の憂き目にあった北九州。1年でのJ2復帰に向けて、まずはチームの再構築が求められる。
4シーズン指揮を執った柱谷 幸一監督が退任し、今季、チームを率いるのは原田 武男新監督。トップチームを指揮した経験はないものの、高いモチベーションを備え、チームの改革に着手していくことになる。
得点源の原 一樹や10番を背負った小手川 宏基ら多くの主力が移籍した一方で、山岸 範宏や平井 将生ら、経験豊富な選手たちを補強。J3では抜きん出た戦力を確保した。
その意味で、今季はボールを支配する戦いが増加していきそうだが、そのクオリティをいかに高められるかが、昇格への重要なテーマとなる。
カギを握りそうなのが、中盤のパフォーマンス。ミドルゾーンで失わず、しっかりとボールを動かすことが何より求められるが、今季より10番を背負う井上 翔太をはじめ、技術の高い選手たちが揃っているだけに、理想の実現は決して困難なミッションではないはずだ。
今季の北九州には、もうひとつの大きなモチベーションがある。新たな本拠地でプレーできるという喜びだ。新スタジアムに詰めかける多くのファン・サポーターの前で、J2昇格の歓喜を手に入れる。そんなシナリオの実現に向けて、新生・北九州は準備を推し進めている。スタイルの完成度を推し図るうえでも、このニューイヤーカップは重要な大会となる。
■ロアッソ熊本
昨年、未曾有の大震災により甚大な被害を受けた熊本。その街の復興の希望として、ロアッソ熊本は大きな使命を背負い、新シーズンへの戦いへと挑む。
震災の影響で、試合の順延を強いられた昨季は、未消化試合をこなすために夏場にハードスケジュールに苛まれた。コンディションに不安を抱えたチームはなかなか結果を手に入れられなかったものの、終盤に何とか盛り返し、16位で残留を果たした。
2年目を迎える清川 浩行監督のもと、今季の現実的な目標はプレーオフ進出圏内(6位以内)となるだろう。昨季のチームを牽引した清武 功暉がジェフユナイテッド千葉に移籍したのは小さくないダメージだが、新たな得点源として昨季、ツエーゲン金沢に期限付き移籍していた安 柄俊を所属元の川崎フロンターレから獲得。フィジカルに優れるこの長身ストライカーがフィットすれば、攻撃力はカバーできるだろう。
また、中盤には北海道コンサドーレ札幌から、上里 一将を迎え入れた。精度の高い左足を持ち、巧みなパスワークで攻撃を操るコンダクターが、スピードに優れたアタッカー陣を上手く生かしていきそうだ。
一方で、チームの肝となる守備力は、昨季の主力が残留し、安定感は保たれるだろう。堅い守りからの鋭いアタックが機能すれば、上位進出も十分に実現できるはずだ。
ニューイヤーカップでは、他のJ2勢と対戦する機会はないものの、J1チームとの戦いとなる磐田戦で、堅守速攻スタイルの成熟度を探りたい。
■鹿児島ユナイテッドFC
参入1年目ながら、一時は優勝争いに顔を出すなど、昨季の鹿児島ユナイテッドFCは、明治安田生命J3リーグに大きな旋風を巻き起こした。その立役者となった浅野 哲也監督は退任したものの(今季よりAC長野パルセイロの監督に就任)、新たに三浦 泰年監督が就任。昨季までカターレ富山を指揮するなど、これまでに複数のJクラブを指揮してきた経験豊富な新監督のもと、2017シーズンの戦いへ臨むこととなる。
昨季の富山でも体現したように、三浦監督が求めるのは攻撃スタイル。堅守を誇った昨季とは対照的なサッカーになることが予想されるが、上手く機能すれば昨季以上の成果を手に入れられるだろう。
オフシーズンの動きは決して目立ちはしなかったが、地元出身の松下 年宏と上本 大海という実力者を補強。ピッチ上でのプレーのみならず、その高い経験値をチームに還元する役回りも期待される。
一方で、主力退団はほとんどなく、昨季の戦力は保たれている。とりわけ昨季のJ3得点王である藤本 憲明の残留は大きく、攻撃スタイルを求める今季のチームにおいて、昨季以上の結果を残す可能性もある。
地元開催となるニューイヤーカップでは、新スタイルの浸透度合に注目が集まる。観る者を魅了するサッカーを展開し、結果も手に入れることができれば、今季のJ3リーグで主役を張れるだけの存在となるかもしれない。