ほんとうに7年ぶりのタイトルがかかった一戦の前日練習なのかと疑ってしまうほど、拍子抜けするくらいいつもと変わらない調整で、鹿島は前日練習を終えた。大挙して訪れたメディアがグルリと取り囲んだクラブハウス練習場の光景は、いつもと違う雰囲気を醸していたかもしれないが、それで浮足立ってしまう選手は一人もいない。リラックスした“鳥かご”で体を温めると、一気に表情を引き締め緊迫感のある空気のなかでセットプレーを確認する。それが終わると、また笑い声が絶えないレクリエーションゲームを全員で楽しむ。今日のチームは「おじさんチーム」対「若手チーム」。7対2で羽田 憲司コーチも入ったおじさんチームの圧勝で全体練習を終えた。
練習後、会見に臨んだ石井 正忠監督は、チャンピオンシップ決勝に向け、チームに対して特別に働きかけたことはない、と話した。
「チャンピオンシップに関しては、僕が言わなくてもどう戦うべきかをわかっている選手がいる。タイトルがかかった試合にどういう気持ちで臨めばいいのかわかっている選手もいる。川崎F戦についてはもっともっと守備の部分で整理しないといけない部分があったので、そこの部分についてはトレーニングしましたが、決勝の2試合に関しては、特別なことはやらなくてもいいんじゃないかと思っています」
リーグ戦は4連敗で終えたものの、最後の2試合は内容もよく、そこから天皇杯神戸戦、そしてチャンピオンシップ準決勝川崎F戦と内容と結果が伴う試合を演じてきた。
「天皇杯も含めて、その3試合が良い状態でできたので、チャンピオンシップに向けてかなりチームは上向いているんじゃないかと実感していました」
その事実が、監督の自信の源となっていた。
(取材・文・写真/田中 滋)