クラブハウス練習場では紅白戦が行われた。その傍らで、観戦用のスタンドに立ち練習を見つめる2人の選手がいた。ロアッソ熊本のキャプテン岡本 賢明と、昨季まで鹿島でプレーしていた佐藤 昭大の2人だった。
東日本大震災を経験している鹿島は、熊本地震復興支援にもすばやい動きを見せていた。熊本県宇土市出身の植田 直通がいるということだけでなく、いまも東北人魂を主宰して東北の復興支援に努める小笠原 満男の影響により、クラブも選手も、そしてサポーターも震災支援活動には意識が高かった。
佐藤は「ほんとうに多くのクラブに助けてもらいました」と感謝を述べ、植田は「ロアッソを代表してオフじゃないのに来てくれた。これからも復興に向けて支援を続けていかないといけない。ロアッソの力になれたら嬉しい」と話した。
また、久しぶりに鹿島の紅白戦を見た佐藤は、「この雰囲気なら絶対に勝てると思う」と、昨季までのチームメイトの動きに太鼓判を押していた。
この日は、選手を入れ替えながら3本の紅白戦が行われた。笛で止めながらポジショニングを確認するところから始まり、時折セットプレーの確認も織り混ぜる。昨日から全体練習に合流したばかりの柴崎 岳も、2本目からは主力組としてプレー。軽快な動きで速攻に加わるなど、ブランクを感じさせなかった。
第1戦に向けたトレーニングは残りあと1回。選手たちに浮足立つ様子もなく、ホイッスルが吹かれるのを待っている。
(取材・文・写真/田中 滋)