少し風は冷たいものの、ときおり差し込む陽射しは温かい。多くのサポーターに見守られながらの練習は熱く激しいものだった。
基礎練習に取り組んだあとのメイントレーニングは8対8。鹿島のなかでは“アレモン”と呼ばれて草創期から行われ続けている練習だ。チームを3チームに分け、ハーフフィールドのなかでチームAはチームBが守るゴールを狙う。チームBはボールを奪ったらセンターラインを越えるところまでボールを運び、チームAはすぐさま奪い返すことを目指す。センターラインを越えたら、今度はチームBが逆サイドのゴールを守っているチームCを攻める。チームCが奪ったら今度はチームAが守るゴールへ…ということを繰り返していく練習だ。ボールを失えばすぐに奪い返しに行くだけでなく、ポジションバランスを整えて相手に簡単にハーフラインを越させないという、切り替えの速さを意識させる練習だった。
特筆すべきは、柴崎 岳が完全合流を果たしたことだろう。準決勝川崎F戦に備えた練習でも部分合流していた柴崎だが、この日からすべてのメニューを他のチームメイトと共にこなし汗をかいた。ハーフフィールドでのプレーだったためダイナミックな動きを見ることはできなかったが、精密機械のようなパス精度は健在。痛めていた箇所があったことなど感じさせないプレーを見せた。
同ポジションで先発を続ける永木 亮太は「チームにとってはプラス。競争が激しくなる」と柴崎の復帰を歓迎。鹿島は、2ndステージで多くの怪我人を抱えながら戦うことを余儀なくされていたが、これで決勝に向けて全員が戦列に復帰した。
(取材・文・写真/田中 滋)